精神科医・メルマガ作家 樺沢紫苑氏

映画作品に垣間見える社会現象の本質 身近ななぜ?を心理学的に解説します

樺沢紫苑氏
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映画や芸能ニュースから犯罪・時事ニュースなどの社会現象を精神科医・樺沢紫苑が心理学的な視点で考察。ビジネス、教育・子育て、恋愛に役立つ心理ノウハウを紹介していくメールマガジンです。テレビのワイドショー番組を見ていて精神科医の先生がコメンテーターとして発言していても、「もう少し詳しい解説を聞きたいのに…」と思うことはありませんか?

私のメルマガでは「なんで、こんな事件が?」という日常の心理学的な「なぜ」を、徹底的に掘り下げます。特に心理学、精神医学を勉強したい人にお勧めします。

【今までに取り上げた映画】
「崖の上のポニョ」「千と千尋の神隠し」「となりのトトロ」「風の谷のナウシカ」「スター・ウォーズ」「七人の侍」「E.T.」「シンドラーのリスト」「スカイ・クロラ」「ハンコック」「アイ・アム・レジェンド」「幸せのちから」「最後の恋のはじめ方」「アイ、ロボット」「テラビシアにかける橋」「ナルニア国物語」「ベオウルフ」「幸せのレシピ」「最高の人生の見つけ方」「羊たちの沈黙」「エクソシスト」「JUNO/ジュノ」「17歳のカルテ」「サイドウェイズ」「Shall we ダンス?」「ALWAYS 三丁目の夕日」「スパイダーウィックの謎」「ラッキーナンバー7」他

【今までに取り上げた事件】
秋葉原無差別殺傷事件、富石弘輝くん殺害事件、2億円宝くじ当選者殺人事件、泰葉「金髪豚野郎」騒動

【今までに取り上げた精神疾患、心理問題】
うつ病、自殺、アルコール依存症、PTSD、トラウマ、育児ノイローゼ、アスペルガー症候群、父性と母性、いじめ、ボーダーライン・パーソナリティ障害

【今まで紹介したビジネスノウハウ】
毎日3時間を創り出すプライムタイム時間術、英語コンプレックスを解消するコミュニケーション英語術、字幕なしで映画を見る方法

発行者プロフィール
樺沢紫苑(かばさわしおん)
精神科医、メルマガ作家。日本第2位の映画メルマガ「映画の精神医学」(読者数5万人)をはじめとして「ビジネス心理学」など6誌15万部のメルマガを発行。うつ病・自殺予防を専門とし、日本各地でメンタルヘルス関連の講演活動も行う。著書に、「自殺という病」、「ビジネス心理学」、「スター・ウォーズ完全解読本」、「北海道スープカレー読本」などがある。「BS熱中夜話」(NHKBS2)、「ぴーかんテレビ」(東海放送)、「GReeeeN SPECIAL」(スペースシャワーTV) などに出演。
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            ● 第29号 ●  

─────────────────────────────────
【音声セミナー】
 樺沢式アイデア創出法 無限にアイデアを生み出し蓄積する方法
─────────────────────────────────
    【 音声セミナー 目次 】
■1 アイデアはビッグバンではない
■2 どこにもない斬新なアイデアは、求められていない
■3 アイデアとはコネクションにすぎない
■4 持ち駒が10倍になれば、 発想は145倍起きやすくなる
■5 自分というブラックボックスを通せばアイデアは生まれる
■6 感情反応は必ず「記録」すること
■7 「樺沢流3分なぐり書き法」の基本とコンセプト
■8 感情反応を再入力すると「アイデア」が生まれる。
■9 人と話すことで客観視が進む
■10 ディソシエイトとアソシエイト
■11 アイデアが浮かばないのは入力不足
■12 アウトプットを強制すると自分が磨かれる
■13 「ひらめき」とは、「雷」のようなもの
■14 今すぐ記録するクセをつけよう
■15 アイデアキャッチャーになる方法とは?
■16 樺沢流アイデアノートの作り方
■17 アイデアが出なくてどうしても困った時は・・・
■18 メルマガのネタに困らない方法

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■1 はじめに
─────────────────────────────────

 「映画の心理学」は、月1回、音声セミナーとなります。

 文字でなく、「耳」から聞くことで、文字情報ではお伝えできない
メッセージをお届けできると思います。

 MP3ファイルですから、音声ファイルはなかなか聞く暇がない
というかたもいらっしゃるでしょうが、「iPod」で聞くことも
できますので、是非、時間を見つけて聞いてみてください。

─────────────────────────────────
■2 音声セミナーのダウンロード
─────────────────────────────────

資料スライドPDF
http://www.saikyo.bizshin.com/a/file1/No29idea.pdf

必ず資料スライドPDFをダウンロードして、
音声セミナーを聞きながらご覧ください。

音声セミナー
第1部 (29分)
http://www.saikyo.bizshin.com/a/onsei/No29idea1.mp3

第2部 (34分)
http://www.saikyo.bizshin.com/a/onsei/No29idea2.mp3

第3部 (28分)
http://www.saikyo.bizshin.com/a/onsei/No29idea3.mp3




 URLをクリックすると再生がはじまります。
 うまくいかない場合は、「右クリック」→「名前をつけてリンク先を保存」
で、一旦、ダウンロード、保存してから再生してください。

 これをお聞きいただくには、MP3ファイルが再生できるソフトが
インストールされている必要があります。

 上記ファイルが再生できない場合は、以下のソフトをダウンロードしてから
再度お試しください。

●Windows Media Player のダウンロード
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/download/

●Real Player のダウンロード
http://www.jp.real.com/realplayer.html

─────────────────────────────────
■3 アイデア創出法 要約
─────────────────────────────────
 
 私は、メルマガ6誌、15万部を配信しており、毎日1通以上メルマガを
配信していますが、ネタ不足で困ったことはありません。
 それは、樺沢流「アイデア創出法」を使っているからです。

 アイデアを出すとは「無から有を生み出すこと」と思っている人がいますが、
そんなビッグバンのようなことは簡単に起こることはなく、
そもそも天才でなければ無理な話です。

 どこにもないほどの斬新なアイデアで作られ商品は、
一般人の理解を超えているため売れませんから、ビジネスの世界では
全く斬新なアイデアなど必要ないのです。

 アイデアとは、コネクションにすぎません。
 情報をコネクト(連結)して、自分流に若干アレンジすれば、
立派なアイデアになります。
 「発想」とは、情報をミキサーにかけて、自分流の隠し味を加えることです。

 コネクションを起こしやすくするためには、持ち駒を増やすことです。
 持ち駒が10倍になれば、 発想は145倍起きやすくなります。
 そのためには、脳へのインプットを圧倒的に増やすことが大切です。

 情報を自分(個性)というブラックボックスを通せば、あなただけの
「アイデア」が生まれます。

 まず、「映画を見る」など情報を自分の個性、自分の脳に入力すると、
「感情反応」が出力されます。
 今度は、その「感情反応」を再入力すると、アイデアが生まれます。

 ただし感情反応はすぐに忘れてしまうので、必ず「記録」することが
大切です。記録なしでは、記憶には残りません。

 感情反応の記録には、「樺沢流3分なぐり書き法」が有効です。
 脳の中身をそのまま吐き出すことで、感情反応、あなたの脳(心)の中を
航空写真のように記録することができます。

 記録した「感情反応」を再入力すると、たくさんの「アイデア」が生まれま
す。人と話すことで客観視が進み、さらにたくさんのアイデアが得られます。
 
 アソシエイト(主観視)してから、ディソシエイト(客観視)することが、
アイデア創出、心理カウンセリング、映画批評や物事の分析など、
全てにおいて重要です。
 
 それでもアイデアが浮かばなければ、「入力不足」が原因ですから、
もっと情報を入力してください。
 また、出力することは自分自身を磨くことにもなり、
出力が新たな入力にもなりますので、「出力」することが、
入力以上に重要です。

 「ひらめき」とは、「雷」のようなもので、記録しないと一瞬で
消えてなくなります。一瞬ひらめくアイデアを記録するには、
「今すぐ記録するクセ」をつけなくてはいけません。

 自分独自のアイデアノートを用意し、常にアイデアを記録し続ければ、
それはあなたの大きな財産となるでしょう。

 樺沢流アイデア創出法「主観視 → 記録 → 客観視」
この3ステップを徹底的行うことで、
無限のアイデアを生み出すことができます。


─────────────────────────────────
■4 まとめ アイデア創出法
─────────────────────────────────

  ┏━━━━━━━ アイデア創出法 ━━━━━━━━★★★
  ┃                           
  ┃ ◆ アイデアはゼロからは生まれない
  ┃
  ┃ ◆ 入力! 入力! 入力!
  ┃                           
  ┃ ◆ 感情反応はすぐに忘却する。
  ┃    「記録」することで体験が財産に変わる
  ┃                         
  ┃ ◆ 感情反応を再入力すると、アイデアが生まれる
  ┃                           
  ┃ ◆ 強制アウトプットで自分磨き
  ┃                 
  ┃ ◆ こだわりのアイデアノートを持てば、一生の財産になる
  ┃   
  ┃ ◆ 樺沢流アイデア創出法とは、   
  ┃     「主観視 → 記録 → 客観視」 ただそれだけ。
  ┃
  ┗━━━━━━━━━━━━━━━★★★

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■2008年11月【映画の心理学】第21号 音声セミナー
樺沢流目標達成術 ~ 一見実現不可能な夢を現実化する方法

■2008年8月【映画の心理学】第10号 樺沢流英語学習法 
~ 字幕なしで映画を見る方法 / 月380円の英語上達法があった

■2008年7月【映画の心理学】第9号 「崖の上のポニョ」からの学び 
~ 生と死、グレートマザー、ウロボロス、自立

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            ● 第30号 ●  

─────────────────────────────────
 石川遼の心理学 / 酔っ払い大臣の精神医学 
─────────────────────────────────
    【目次】

■1 はじめに 

■2 酔っ払い大臣の精神医学
     中川元大臣が海外から猛烈に批判された理由
              【ニュース】【精神医学】【アメリカ文化】

■3 石川遼の心理学 
    第1弾 「夢を言葉に出せば実現する」
			     【ビジネス】【目標達成】

■4 「グイン・サーガ」の心理学
   第7回 「ヤーンの選択」感想

							  【小説】
─────────────────────────────────
■1 はじめに 
─────────────────────────────────

 アカデミー賞、「おくりびと」の外国語映画賞と
短編アニメ部門のダブル受賞。

 凄いですね。受賞、おめでとうございます。

 メジャー・リーグなどスポーツの世界では、
アメリカで活躍する日本人選手がたくさんいますが、
映画の世界ではそうもいきません。

 今回の日本の作品がアカデミー賞を受賞したのですが、
アカデミー賞自体が5年前くらいから、
黒人受賞者やアメリカ以外の映画、アメリカ以外の国籍の監督、俳優
の作品も評価するようになってきて、
急速に開かれてきたなあ・・・とは感じていました。

 これは、ハリウッドだけではなく、おそらくはアメリカ全体の
傾向でもあり、そうした背景の中でオバマ大統領の誕生も
実現したのだと思います。

 アメリカ自体が「CHANGE」している。
 
 そうした流れの中で、いろいろな出来事が起きている。
 
 サブプライム・ショックもそうだし、
そしてこの日本映画のアカデミー外国語映画賞受賞もそうです。


 大きな変化の流れの中で、古い産業は衰退し、
新しい産業が起こってくる。
 
 100年に一度の大不況。
 裏返せば、100年に一度の大変革が、今起きています。
 
 その波を乗りこなせば「成功」し、その濁流に呑み込まれれば
「失敗」する。それだけの話です。
 
 「ピンチはチャンスです」

 オバマ大統領は、就任早々、多くの経済的な課題を抱えて
早くもピンチに陥っている、という報道がありますが、
非常に一面的な見方です。

 サブプライム・ショックが破綻せず、アメリカ経済が
盤石な状態であれば、おそらくオバマは大統領になれなかった
でしょうから。


 一方日本。
 麻生太郎首相は、なぜこんな最悪のタイミングで首相に
就任してしまったんだろう・・・と思っているに違いありません。
 
 経済がここまでひどくなければ、支持率もここまで低下しなかった
はずだ・・・と。

 しかし、この考え方は、完全に間違っています。

 麻生首相は、絶好のチャンスの時期に、首相に就任したはずです。
 
 株価もこれ以上、下がらないほどどん底まで下がっているわけだし、
阿部、福田と二人連続で、政権を放り出してしまっているわけです。

 経済危機も、アメリカ発のものであって、
経済危機の一次的な責任は、麻生政権にはありません。

 これ以上悪くなりようもないどん底の状態ということは、
これからは右肩上がりにしかならないわけですから、
絶好のチャンスといえるわけです。

 そこで適切な対策をとらなかったせいで、
下がりようもない最悪の状態が膠着してしまいました。
 
 まさに自分が招いたピンチではないですか。

 ピンチはチャンスです。

 そしてどんなチャンスも、それを手に入れようと努力しないと、
「ピンチ」に変わってしまいます。

 ピンチはチャンスであり、チャンスはピンチです。

 もしあなたが「今はピンチ」だと思っているのなら、
そこには絶好のチャンスが隠れているはずです。

 考え方を切り替える。
 
 思考を切り替える。
 
 常にあきらめない。

 そうすれば、「ピンチ」がチャンスに見えてきます。


─────────────────────────────────
■2 酔っ払い大臣の精神医学
     中川元大臣が海外から猛烈に批判された理由
─────────────────────────────────

■ 酔っ払い会見 国内と海外の温度差

 経済対策の要である中川昭一財務・金融担当相が
2月14日(現地時間)ローマで開催された
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の
記者会見にもうろうとした状態でのぞみ、
それから3日後に辞任に追い込まれました。

 中川昭一氏は、麻生太郎首相の盟友でもあり、
彼の辞任は麻生政権への大きな打撃となるでしょう。

 この一連の騒動を見て、私は非常に奇妙な感じを受けましたが、
あなたは気付かれたでしょうか?


 中川氏の酔っぱらい会見の模様は、日本では15日に報道され、
夜のニュースでもとりあげられ、キャスターやコメンテイターは、
「日本の恥」とか「だらしない」とか、皮肉めいたことを口にして
いましたが、こんな大臣は今すぐ辞任しろか、痛烈な口調での
批判は見られませんでした。

 翌16日朝刊の社説で、酔っぱらい会見について指摘した主要新聞は
なんと毎日新聞だけで、他紙の多くは社説で、
G7会合の評価に内容を集中し
「酔っぱらい会見」については、全くふれていなかったのです。

 中川氏が辞任した今でこそ、新聞、テレビ、雑誌全てのメディアが、
「辞任は当然」「世界に恥をさらした」と痛烈な報道していますが、
会見直後のメディアのリアクションと比べると、凄い温度差です。

 一方で、海外メディアでの批判は、会見直後から痛烈を極めました。

 麻生首相は、当初は中川氏に辞任を求めるつもりはなかったようですが、
結果として、この「外圧」に押されて、辞任してもらうしかなくなった
という感じです。

 この会見には、多数の海外メディアが参加していたので、
海外でいち早く、そして大きく報道されてしまったということも
ありますが、日本と外国との「飲酒」に対する考え方の違いが
明確に現れたようです。

 おそらく、「辞任は当然」と報じる日本のメディア関係者は、
なぜ「酔っぱらい会見」が海外からこれほど激しいバッシングを受けたのか、
その理由をいまだに気付いていないと思います。

 そして、ほとんどの日本人もそうだと思います。

 日本から外に出たことのない日本人には、
絶対にわからない欧米と日本の飲酒に関する考え方の違い。

 そして、アルコール依存症の問題について、お話ししたいと
思います。


■ 子供の前で酔っぱらうのは最大の「恥」

 先日、映画「チャーリー・バートレットの男子トイレ相談室」という
映画を試写会で見ました。2009年春休み公開の新作です。

 大金持ちの家の息子、高校生のチャーリーは学校で次々トラブルを起こす
問題児。私立学校を退学になり、ついに公立学校へと転校になりますが、
新しい学校でまたもトラブルが続発。チャーリーをめぐる事件、恋愛、友情を
描いたコミカルな青春映画で、かなりおもしろかったです。

 この映画の一シーン。

 チャーリーの恋人のスーザン。
 スーザンの父親は、学校の校長ですが、問題児チャーリーと
自分の娘が交際していることを、快く思っていません。

 それで娘に、チャーリーとの交際をやめるように促します。
 しかし、父親の呂律は回らず、視線も定まりません。
 父親はお酒の力をむ借りて、酔っぱらった勢いで、
娘に啖呵を切ったのです。

 それを見たスーザンは、
「お父さん、酔っぱらっているの?」と言いますが、
そのとき父親に投げかけられた視線は、
父親を猛烈に軽蔑したものでした。

 スーザンの父親は、学校で次々と起こるトラブルがストレスとなり、
アルコール依存症になっていたのです。

 学校でこそ飲みませんが、休日は昼からウィスキーをあおっています。

 この娘と父親のシーンは、アメリカの「飲酒」事情を見事に説明しています。


 酔っぱらった勢いで、子供に言いたいことをぶちまける。
 
 日本人であれば、日常的な場面ですが、
アメリカでは絶対にあり得ない、というか絶対にやってはいけない
ことなのです。

 つまり、「親が子供の前で酔っぱらった姿をさらすこと」は厳禁なのです。
 
 理由は、子供に対して悪影響を与えるから。


 以前も紹介しましたが、ウィル・スミス主演の映画「ハンコック」
でも、似たようなシーンがありました。
 ハンコックがPR屋のレイを踏切事故から救出し、お礼として
レイの家に食事に招かれるシーンがあります。

 しかし、ハンコックは、小さな子供がいるというのに、
手にはウィスキーを持ち、食事の合間にもチビリチビリと飲みます。
 
 そして、レイの妻は、「子供の前よ」とハンコックに
猛烈に軽蔑した視線を浴びせるのです。

 これが普通です。

 アメリカ映画をたくさん見ればわかるように、
家族で食事をしているシーンで、アメリカ人はまずアルコールは飲みません。
 もし飲んだとしても、ワインくらいでしょう。

 小さい子どものいる食卓で、ビールやウィスキーを飲むというのは、
まずあり得ない話。

 アメリカ人がお酒を飲みたい時は、子供をベビーシッターに預けて、
夫婦で外で食事をして、バーに行くのです。


 日本映画や日本のテレビドラマを見ると、家族で食卓を囲むシーンでは、
必ずといっていいほど父親はビールや晩酌をしています。

 子供の前で親が堂々とお酒を飲む。
 アメリカではあり得ない話です。


■ 西部劇ではなぜ、酔っ払いが牢屋に入っているのか?

 西部劇には、胸に星のバッジをつけたシェリフ(保安官)が
出てきます。

 そして、その保安官事務所の牢屋には、決まって
酔っ払いが保護されています。

 西部劇ではなぜ決まって、酔っ払いが牢屋に入っているのでしょうか?

 アメリカでは、州にもよりますが、ほとんどの州で、
パブリック・スペース(公共の場所)での飲酒。
 そして、酩酊状態をさらすことを禁止しています。

 要するに、泥酔して駅のベンチで寝ているだけでも
逮捕されるということです。

 あるいは、缶ビールを1本買って公園のベンチに座って飲んでいるだけで
逮捕されるかもしれません。


 まあ、いきなり逮捕されることはないにしても、
巡回している警官に見つかれば、ID(身分証明書)を出せ
と言われて、職務質問されて、厳重注意は受けるでしょう。

 日本でも最近、路上での喫煙が禁止されて、区によっては
路上での喫煙に罰金が課されていますが、それと同じことが
アメリカでは「お酒」において、ずっと昔から行われているのです。

 なぜそこまで厳しくするかというと、それは「子供への影響」でしょう。

 お酒を飲んでだらしない状態を子供たちに見せるのは
教育上よろしくないということで、
パブリック・スペースでの飲酒がほぼ全面禁止されています。

 もしあなたがアメリカ旅行をするときは、注意してください。

 日本にいる感覚で、昼間っから公園で缶ビールをグビリとやると、
ポリスにつかまります。

 またハワイ州などでは、ビーチでの飲酒も禁止されていますから、
注意してください。


■ 子供に酔っぱらった姿をさらすのはアルコール依存症だけ

 アメリカ映画を見て、「昼間から家でビールを飲んでいるシーン」を
見たことがある・・・という人もいるはずです。

 それは、「アルコール依存症です」ということを説明しているのです。
 
 「昼間から家でビールを飲んでいるシーン」というそれだけで、
「その人物はアルコール依存症である」ということの説明になるのです。

 すくなくとも、90%以上のアメリカ人は、そのように理解するはずです。


 酔っぱらった姿を子供の前にさらすのは、「最悪」なのです。
 
 それは、「アルコール依存症の人がすること」です。
 
 アルコール依存症は、アメリカでは社会問題化していて、
家庭内暴力、子供への虐待の温床となっています。

 だから、アルコール依存症に対する風当たりが厳しいし、
「酒を飲んで良い場所」と「酒を飲んでいけない場所」が
明確に区別されています。


♯ 自分の子供の前で、酔っぱらった姿をさらさない

♯ 他人の子供の前でも、酔っぱらった姿をさらさない

 これは、アメリカ人にとっては、チョー常識です。
 社会マナーの基本中の基本です。

 ヨーロッパでは、昼食でワインを普通に飲んだりしますので、
お酒に対する考え方は、アメリカよりはゆるいでしょうが、
彼らはお酒に強いですから、ワインくらいでは酔っぱらいません。

 公衆の面前で、酔っぱらった姿をさらすのは「恥」という
概念は、ヨーロッパでも同じです。


■ テレビで酩酊状態をさらすということは・・・

 上記のように、アメリカやヨーロッパでは、
酩酊状態を人前にさらすというのは、究極の恥なわけです。

 それが、一国の大臣が、記者会見というテレビや新聞という
メディアが大集合しているその前で、
そしてニュース映像にもなるテレビカメラを前にして、
酔っぱらって現れた。

 当然、ニュースだから、家にいる「子供」も見るかもしれない。

 この意味がおわかりですか?


 たとえて言うならば、「素っ裸」をさらすようなものです。
 
 例えば、駅のベンチで素っ裸で寝ていれば、さすがの日本でも、
警察や駅員に保護されますね。
 そのくらいのインパクトというか、「恥ずかしい行為」として
イメージしていただけると良いでしょう。


 つまり、一国の大臣が素っ裸で国際記者会見に現れた。

 そのくらいとんでもないことを、中川元大臣はしでかしてしまった
わけです。


■ 中川元大臣は、海外では、アルコール依存症だと思われた・・・はず

 アルコール依存症はどういう病気なのか?
 
 簡単に説明するのは難しいですが、

 「お酒によって社会活動に支障をきたす状態」があれば、
それはもうアルコール依存症が疑われます。

 酔っぱらった状態で職場に現れる。
 二日酔いで遅刻、欠勤する。
 仕事中に飲酒する。
 お酒が原因でクビになる。

 これに「連続飲酒」(ほぼ毎日お酒を飲む)と
「禁断症状」(お酒をやめると猛烈に飲みたくなる)という
症状が加われば、確実に「アルコール依存症」と診断されます。

 記者会見があるとわかっていながら昼間からお酒を飲んで、
記者会見に酔っぱらって現れ、酩酊状態を世間にさらした。

 この2点だけで、アメリカ人の多くは、
中川元大臣をアルコール依存症だと思ったはずです。


 海外の大手メディアでは、さすがに一国の大臣をアルコール依存症と
断定したものは、なかったと思いますが、ネットで検索してみると、
アルコール依存症を示唆しているものはありました。

 「ニュージーランド・ヘラルド」というニュージーランドの新聞社の
サイトを見ると、「日本の大臣が破廉恥な飲酒」と題した記事を掲載して
おり、この記事はなんと「Alcohol Abuse (アルコール依存症)」の
コーナーに分類されています。
http://01.futako.info/a/alc01.html

 暗に、こうした事件を起こす人は、当然アルコール依存症である
ということが示唆されているのです。

 あるいは、「The Dicovering Alcoholic」(アルコール依存症を見つけろ)
http://discoveringalcoholic.com/category/tags/shoichi-nakagawa
というサイトにも、中川氏の醜態の話はとりあげられていますが、
このサイトで取り上げられているということ自体、
アルコール依存症とみなされていることになるでしょう。

 中川氏は、アルコールが元で過去に幾度となく失態を繰り返しているわけで、
アルコール依存症が以前から疑われているにもかかわらず、
単に「酒癖の悪い人」という理解しかできない日本人の
「飲酒意識」自体が問題だと、私は思います。


■ とめない奴が一番悪い!?

「The Dicovering Alcoholic」(アルコール依存症を見つけろ)
http://discoveringalcoholic.com/category/tags/shoichi-nakagawa

 このサイトにおもしろいことが書いてあります。

> 中川氏の両脇に座っている人物、
> 自分のボスが自殺行為をしているというのに
> ちらりと見たにもかかわらず、それを止めようともせず、
> 不動だにしなかった。

 今回の酩酊会見は、中川氏に責任があることは間違いないわけですが、
他の人は一体何をしていたのか? と思います。

 酩酊会見の映像を見ると、中川氏の向かって右隣に座っていた
日銀の白川総裁のリアクションが、普通とは思えません。

 隣にへべれけになった酔っぱらいが座っているというのに、
そんな人物が全く存在しないかのように自分に対する質問だけを
淡々と答えているという。

 一度、中川氏をチラリとみる映像もありますが、
驚いた様子も動揺した様子もなく、全くノーリアクションなのには、
余計驚かされます。

 事前に「会見は中止しましょう」とか、「延期しましょう」とか
進言した人は誰もいなかったのでしょうか?

 「常識」のある取り巻きであれば、
「体調不良のため参加できません」とか適当な理由で中止するのが
普通ではないでしょうか?

 こんなへべれけ状態の酔っぱらい会見を世界中に配信して、
どんなリアクションが起きるのか?
 
 会見の前には、誰一人として想像しなかったということがまた、
大きな問題です。


 飲酒に関する意識の甘さ。
 中川氏本人ではなく、同行者全員。

 さらには、日本人全員が共有する悪しき寛容さ。

 これが日本で開かれていた会見であったなら、
「辞任」までの騒動になることは絶対になかったでしょう。


 酩酊して、公共の場で醜態をさらす。
 
 公園や駅のベンチに酔っぱらって寝ていたり、
道路や電車内でゲロを吐いたりする人。
 
 中川氏と全く同じです。

 イッキのみとか、強制的に飲ませたりとか、
最近では減ってきているものの、
酒のマナーが悪すぎます。

 今回は、中川元大臣一人の問題ではなありません。

 日本人の飲酒意識の甘さが、氷山の一角として、
こういう事件として現れてきているにすぎないのです。

 これを教訓に、日本人一人一人が飲酒に対する意識を
改めていく必要があるのではないでしょうか。



 お酒とのつきあい方。
 アルコール依存症とその診断の話は、

【ビジネス心理学プレミアム】第15号 
 仕事ができるビジネスマンになるための正しいお酒との付き合い方
http://01.futako.info/a/backnumber.html 

でも、特集しています。
 
 さらに詳しく勉強したい方は、バックナンバーをご覧ください。


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■ アルコール依存症の映画 「ザ・クライアント 依頼人」
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 アルコール依存症を扱ったアメリカ映画は山ほどあります。
 その中で、今日は一本だけ紹介します。

 「ザ・クライアント 依頼人」です。
http://01.futako.info/a/client.html

 「ザ・ファーム 法律事務所」や「ペリカン文書」の原作者として知られる
ジョン・グリシャムの「依頼人」の映画化作品。
 
 公開当時は、ジョン・グリシャム原作の法廷サスペンスという
雰囲気で宣伝されていましたが、この映画の本当のおもしろさは、
アルコール依存症から回復し駆け出し弁護士として活動しはじめた
主人公レジー・ラプの心理的葛藤にあります。

 家の近くの森で自殺した男を目撃したことから、11歳の少年マーク・
スウェイは、連邦検事官に証言を強要され、マフィアからは命を狙われる
ことになります。

 自殺した男はある殺人事件の重要な証人だったのです。
 
 「しゃべったら殺す」と追いつめられたマークは、家族と自分の
安全を考えた末に弁護士を雇おうとしますが、所持金はわずかに1ドル。

 しかし、少年の中に自分と同じ心の傷をみつけた女弁護士レジー・ラブ
(スーザン・サランドン)は、少年の依頼を受け難事件解決に挑みます。

 父親がいない家庭で、母親と幼い弟を守らなければならない少年マーク。
 離婚訴訟に負け、愛する子供を手放した過去をもつレジー。
 
 二人は、やがて依頼人と弁護士という立場を越えて、
母と子のような、疑似親子関係とでも言うべき、深い人間関係が築かれて
いくのです。

 しかし、レジーには秘密がありました。
 離婚と子供を失ったショックから、アルコールに逃避していた時期が
あったのです。つまり、アルコール依存症だった。

 彼女は、検事やFBIからの圧力や
マフィアから命の危険を感じさせる脅迫を受け、
猛烈なストレスにさらされます。

 そしてレジーは、長年やめていたアルコールに手を出してしまうのです。

 そして、それがマークに見つかってしまい、せっかく築き上げた信頼関係が
ガラガラと崩れ去ってしまいます。

 大人の飲酒が子供に目撃される。
 
 これが非常に「恥」であり、「醜態」であるということを真に理解しないと
この「ザ・クライアント 依頼人」の最も深い部分の心理葛藤が
理解できません。

 「ザ・クライアント 依頼人」は、ネットで調べると、それほど高い評価は
得ていないようですが、アルコール依存症者の心理を描いた映画として
非常に秀逸な作品だと思います。

 今回のメルマガを読まれた方は、「飲酒して醜態をさらす」ということの
真の意味を理解されたと思いますので、
「ザ・クライアント 依頼人」を楽しんでいただけるのではないかと思います。


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■ 蛇足 二日酔いになりづらい方法
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 先日、あまりお酒が強くないという私の友人に
「二日酔いになりづらい方法」を教えてあげたら
たいへん感謝されました。

 二日酔いにならないためには飲み過ぎないようにすればいいのですが、
ついつい飲み過ぎてしまうこともある・・・これは事実です。

 ですから、「二日酔いになりづらい方法」を知っていると、
非常に役に立ちます。


 二日酔いになりづらい方法。
 お酒を飲む前に、牛乳を飲むとか、いろいろな方法がありますが、
最も簡単で、最も効果的な方法は、「水を飲む」ということでしょう。

♯ お酒を飲みながら水を飲む。
♯ 家に帰ってから水を飲む。
♯ 寝る前に水を飲む。
♯ 夜間、目が覚めたときや、トイレに起きた時に水を飲む。

 ということです。

 私の場合は、飲み会や食事の後半では、
日本酒を飲んでいても、別に水をもらって水と日本酒を交互に飲んだり、
ワインを飲むときも、別にグラスに水をもらって交互に飲みます。

 こうすると、非常に二日酔いしづらいです。

 また、家に帰っても、水や、ポカリスエットやアクエリアスなど
スポーツドリンクを飲むようにします。

 また、ひどく酔っぱらった時は、枕元に水の入ったペットボトルを
用意しておいて、夜目が覚めたときなどに、飲むようにします。


 なぜ水を飲むと二日酔いになりづらいのか?

 アルコールの分解、その化学反応自体には水は必要ありませんが、
人間の「代謝」には、必ず水が必要となります。

 アルコール代謝に限らず、水が十分にないと、代謝が活発にならない。
 代謝の速度が遅くなってしまう。
 だから水をとらなくてはいけません。
 
 ビールに水分は含まれているし、ウィスキーや水割り、
焼酎もお湯割で飲んでいるから、水分はとれている
と思うかもしれませんが、お酒を飲むとすぐに脱水状態になります。

 例えば、ビールを飲むと、すぐにトイレにいきたくなりますよね。
 アルコールには、利尿作用があります。
 利尿作用とは、オシッコを出す作用のことです。

 ですから、アルコールをたくさん飲むと、尿として水分が体外に
出てしまうのです。
 つまり、脱水状態になりやすい・・・ということです。
 
 アルコールの量に対してに、10倍以上の水分をとるべきである
と言われています。


 お酒をたくさん飲んで寝たとき、夜中や朝、目が覚めたとき
口がカラカラに乾燥していることを経験するはずです。
 これは、脱水状態になっているということです。
 

 あと、水分をたくさんとると、二日酔いが軽くなります。

 二日酔いで点滴をしたことがある人はわかると思いますが、
たった500ccの点滴を1本するだけで、
明らかに二日酔いが改善します。

 点滴とは何かということですが、基本的に「水分」です。
 電解質補給の意味もありますが、基本は「水分補給」です。

 つまり、水分が補給されれば、二日酔いが軽くなるのです。

 二日酔いの原因ですが、それはお酒(アルコール)そのものではなくて、
「アセトアルデヒド」にあります。

 アセトアルデヒドは、アルコールの代謝産物で、
血中のアセトアルデヒド濃度が高まると、
吐き気や頭痛といった二日酔いの症状を出します。

 二日酔いの症状というのは、アセトアルデヒドの血中濃度にほぼ依存します。
 
 アセトアルデヒドの血中濃度を減らすためには、アルデヒドが減れば良い。
 アセトアルデヒドが肝臓で代謝されると、最終的に水と二酸化炭素になりま
すが、それには少し時間がかかります。
 
 アセトアルデヒドの血中濃度を下げるためには、アセトアルデヒドを減らせ
ればいいのですが、そうはいかないとなると溶液。
 つまり、「循環血液量」、あるいは体内の水分量を増やせばいいのです。

 「循環血液量」は、人によって個人差があるものの、
だいたい5リットル前後と言われています。意外と少ないです。
 
 ですから、350mlのペットボトルを1本飲むだけでも、
それが吸収されて血液に入る(細胞内にも入りますが)と、
アセトアルデヒドの血中濃度は当然下がるのです。

 というわけで、飲酒中、飲酒後、夜から次の日にかけて
水分を十分に補給することを意識するだけで、
二日酔いになりづらく。二日酔いを軽減することができるのです。

 他にも「ビタミンCを補給する」とか「シジミのお味噌汁を飲む」とか
いうのも、二日酔い予防のための医学的根拠はあるのですが、
必ずしも家にビタミンCの錠剤があるかとか、
二日酔い防止のために帰宅してからシジミのお味噌汁を作るのか
といった問題があって、気軽には実践しづらいでしょう。
 
 「水分補給」であれば、いつでもどこでも実行できますので、
試してみてください。

 本当に、効果があります。


─────────────────────────────────
■3 石川遼の心理学
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 石川遼くんの米ツーの初戦となったノーザントラストオープンでは、
予選敗退となってしまいましたが、本人は「手応えをつかんだ」とのこと。

 4月には彼が夢にまで見たマスターズへの
挑戦が決まっています。
 
 この石川遼くんという人。
 人間的にもできていて、これで17歳の高校生ですから、
「本当に凄いなあ」と心から思います。
 
 彼は意識してかしらずか、おそらくは無意識にだとは思いますが、
いわゆる「成功法則」といわれるもののたぐいを、
おそろしいほどしっかりと実践しているのです。
 
 だから成功できているというこもありますが、

♯モチベーションの上げ方
♯目標設定の仕方
♯人との接し方

あらゆる点において、「成功法則」実践者の鏡のように思えます。

 「石川遼の心理学」ということで、彼が実践する成功法則を特集として
まとめてお送りしようと思っていましたが、彼の成長のスピードが猛烈に
早くて、ネタを温存すると古くなってしまうような感じもありますから、
思いつくたびに、「石川遼の心理学」をお届けしていこうと思っています。
 
 4月のマスターズ挑戦。
 一体、どこまでやってくれるのかという応援の意味もこめまして、
「石川遼の心理学」第1弾をお送りします。


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■石川遼の成功法則
  第1弾 「夢を言葉に出せば実現する」
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 ご存じの人も多いでしょうが、石川遼くんは「マスターズ優勝」が
小さい頃からの夢でした。

 小学校の卒業文集にも、将来の夢は「マスターズ優勝」と書いていました。
 また、去年プロ宣言したときも、「夢はマスターズ優勝です!」と
素直に語っていました。

 とにかく、インタビューとか記者会見などでも、
彼は「マスターズ優勝」を何度も、何度も明言しています。
 
 「夢を言葉に出せば実現する」

 これは、非常に重要な成功法則です。
 心理学的も、正しいことが証明されている、心理法則でもあります。

 心理学的では「パブリック・コミットメント」(公的約束)といい、
 公の場で自分の意見を発表すると、その意見にあった行動をしなくては
という心理が働くため、実際に言ったとおりの行動を起こす確率が
高くなるのです。

 また、社会心理学では「自己成就予言」というのもあって、
発した予言が社会に浸透することで、結果として予言が成就しやすくなる
ということが言われています。


 しかし、「夢を言葉に出せば実現する」というのは、
言葉で言うのは簡単ですけど、実際に実行するのは非常に難しいと
思います。

 中途半端な実力で、「マスターズ優勝が夢です」と言っても、
日本人では出場枠獲得、そして予選突破すら大変なわけですから、
「何バカなこと言ってるんだ」と失笑されるのがオチです。

 実際、石川遼くんがプロ転向後、なかなか結果を出せずに予選落ちが
続きましたが、「そう簡単に勝てるもんじゃない」とか
「アイアンで刻むのが定石。それをドライバーにこだわっていては、勝てるは
ずがない」とか、ベテラン・ゴルファーやゴルフ評論家の
厳しい意見も、スポーツ新聞でみかけました。

 「夢を語る」ことは実に素晴らしいことなのに、
不用意に語ると、批判やバッシングの対象となるので、
現実問題としては簡単ではありません。

 でも、それでも語った方が良いと思います。

 「パブリック・コミットメント」と「自己成就予言」については、
バックナンバーの「20号」「21号」で既に説明しましたので、
今回は少し違った視点から説明してみます。

 なぜ目標や夢を言葉に出すと、実現しやすくなるのか。
 それには、三つの側面があると思います。


(1)背水の陣効果 (自分が変わる)

 目標や夢を言葉に出して明言したり宣言したりしますと、
後にひけなくなります。

 結局、達成できないと、 
 「やっぱり口だけじゃないか」
 「結果のともなわない奴だ」
と、ひどいことを言われるかもしれない。

 「夢」「目標」を明らかにすると、自分のケツに火がつきます。
 精神的に追い込まれます。
 背水の陣になります。
 
 結果として、自分のモチベーションが高まり、
自分の実力が100%、120%発揮されることで、
目標に近づいていき、結果として目標達成に至る・・・
ということです。


(2)応援効果  (他人が変わる)

 あなたに対して好意を抱いている人はたくさんいます。
 しかし、あなたが何をして欲しいのかが分からなければ、
相手はあなたのためになることを、したくても、することが出来ません。

 自分の希望を伝えると、意外なほど、人間は動いてくれるものです。

 それは、あなたが魅力的な人間であるほど、
あるいは好感がもたれる人間であるほど、応援効果は大きいかも
しれません。

 しかし、赤の他人に対しても、
「自分が望むこと」を明確に伝えるほど
実現度は高まる・・・ということを、よく経験します。


 例えば、私がアメリカで生活していたとき、おもしろいことを経験しました。

 電気製品を買って帰ったのに、家に帰ってみると壊れていたのです。

 その商品を持って、店に苦情を言いに行きました。
「こんな壊れた商品を売りつけてどうしてくれるんだ」と言ました。

 すると店員は、「それは私の責任ではありません」と言うのです。
 責任逃れですね。
 それでらちが明かない。
 結局、支配人みたいな人が出てきて、交換してもらうのに30分も
かかりました。
 
 その後アメリカ生活を続けていて気付きましたが、
私のクレームのつけ方が完全に間違っていたのです。

 「どうしてくれるんだ?」と、漠然としか希望を述べなかったのが、
よくないのです。

 別な時に、同じようなことがあったので、またクレームを言いに行きました。
 「壊れているので、新しいのと交換してください」と。

 今度は、すぐに新しいのと交換してくれましたので、3分で用が済みました。

 アメリカでは、
「どうしてくれるんだ?」と漠然なことを言うと、
「責任追及をしに来た」と勘違いして、「自分には責任がない」という
弁明に必死になります。

 「新品と交換してくれ」
 「返品するので、返金してくれ」と
明確に用件を述べれば、細かいことも言わずに、
すぐに交換や返金に応じてくれます。

 自分の要求、希望は明確に伝える。

 相手は自分のために動いてくれようとしているのに、
要求が伝わらないと、何もしてくれないし、むしろ正反対なことを
される可能性すらあるのです。

 これはアメリカに限った話ではなく、日本でも同様で、
日本では「以心伝心」という文化があるので、
自分の要求を直接述べない方がいいかと思ってそうしていると、
結局何もしてもらえない・・・ということになります。

 あなたを応援している人は、想像以上にたくさんいます。

 しかし、相手に

 自分が何をしたいのか。
 自分が相手に何をして欲しいのか。
 
が伝わらないと応援してもらうチャンスを失ってしまうのです。

 ですから、自分の希望、目標、夢を明確に述べるということは、
絶対に意味がありますし、絶対に効果があります。


(3)当事者が動く

 目標や夢を述べると、自分自身が発奮するということがあります。
 そして、それに向けて、周囲の人たちが、協力してくれる、
ということがあります。

 さらに、次のステップとして、当事者団体、第三者団体が、
あなたの夢や希望をかなえるべくして、
動き出すということが起きてきます。


 石川くんのマスターズ出場権獲得も、それに近いものがあると思います。

 石川くんは、マスターズ出場権を獲得した時は、世界ランク60位でした。

 マスターズには歴代優勝者、メジャー大会優勝者、過去1年間の
各米ツアー優勝者、大会直前の世界ランキング50位以内の選手が
招待されますので、石川くんに出場権はありませんでした。

 今回は、「特別招待枠」ということで、マスターズ委員会から
招待を受けました。

 しかし、これは異例中の異例ではないでしょうか。
 17歳、そして今年デビューしたばかりの、プロ1年目。
 アメリカでのツアー出場経験も全くない。
 日本で話題になっているということはあっても、
アメリカではそこまで有名ではないはずです。


 石川選手の選考理由を、マスターズ委員会のビリー・ぺイン氏は、
次のように説明しています。

 若くても石川遼選手は、この招待を受け取るに十分な技術と力量を
備えている。石川遼選手が、世界の舞台で新たな才能を披露することは、
ゴルフの発展という我々の目的を実現するいい機会にもなる。

 私は、石川選手が「マスターズ優勝」を何度も公言していることと、
今回の「特別招待枠」の獲得とは、間違いなく連動していると思います。
 
 マスターズ主催者としても、日本で有名な新人選手が「マスターズ優勝」
を目標に頑張っているいう話は、プラスにこそなれ、絶対にマイナスには
ならないでしょう。

 こういう「引き寄せ効果」によって、当事者を動かしてしまう、
ということはよくあります。


 少し前の話ですが、あるテレビ番組で、タレントのSHEILA さんが、
スヌーピーをモチーフにしたジュエリーをデザイン、プロデュースすることに
なりました・・・と得意げに語っていました。

 彼女がそのいきさつについて語っていたのが実に興味深かった。
 
 SHEILAさんは、昔からスヌーピーの熱狂的なファンで、
いろいろな場面で「スヌーピーが大好き」「スヌーピーは最高」と
言っていたそうです。

 そんなある日、突然、SHEILAさんがスヌーピーの大ファンであるという
話を聞きつけたスヌーピーの権利を持つ会社の側から、
「スヌーピーのジュエリーのデザインをしませんか?」という
話がもちかけられたのだといいます。

 SHEILAさん自身「スヌーピーが好きと言いづけて来て、本当によかった。
思っていることは、言葉に出して言っておくべきね」
と本音を語っていました。

 こういう風に、自分の夢や希望をしつこく語っていると、
たまたまうまく当事者側に伝わると、当事者サイドを動かしてしまう、
というこが本当にあるのです。


 最後に自分の話で恐縮ですが、こんなことがありました。

 私は、アメリカで3年間ほど自殺予防の研究をしていましたので、
その成果というか、自殺予防の知識をもっと日本でも普及させたいと
思い、自殺予防の本を出版したいと思っていました。
 
 手始めにというと何ですが、自殺予防の音声セミナーを作って、
無料レポート形式で配布を開始したんです。

 それで、メルマガの方でも、「自殺予防の本を出版したい」という
ことをさりげなく書いてみました。

 そうした、それからわずか5日後に、秀和システムの編集者の方から、
「自殺予防の本を出版しませんか?」というオファーが来ました。

 いきなり行動を開始したところ、すぐに自分の「夢」が実現して
しまったので、ビックリしました。

 その結果、できあがった本が
「自殺という病」(秀和システム)です。
http://01.futako.info/a/suicide04.html 

 後から編集者さんに、なぜ私に話を持ってきたのかを聞きました。

 丁度、マスコミなどで自殺の話が盛り上がってきていたので、
自殺予防の本を出したいと思っていた。
 
 以前から、樺沢のメルマガは読んでいたそうですが、
丁度そのタイミングで樺沢が自殺予防の音声セミナーの配布をはじめたので、
ダウンロードして聞いてみたところ、それなりの内容で、
この人なら書けそうだと思ったので、出版のオファーを出した、
とのことです。

 タイミングということもあるようですが、
私が自殺予防の音声セミナーを出して、そして自殺予防の本を出したい
と書いたので、編集者と需要と供給がピタリとあって、
「夢」が実現した・・・ということなのです。

 心の中で思っていただけでは、絶対に実現しなかったでしょう。

 
 かなり実例中心の話になりましたが、
 「夢を言葉に出せば実現する」ということの重要性。

 そして、その確かな効果について、理解いただけたでしょうか。

 「夢を言葉に出せば実現する」
 これを実現するには、勇気がいります。

 しかし、「夢」が実現するのでしたら、そのくらいの勇気やリスクも
たいしたことではないでしょう。
 
 あなたも、今日から「夢」「目標」を明言しましょう。

 
 石川選手の夢、「マスターズ優勝」。

 これは必ず実現するでしょう。間違いないと思います。

 「夢」とはそういうものです。
 言葉に出せた時点で、もう半分以上、実現にむかって動き出して
いるのです。


─────────────────────────────────
■4 「グイン・サーガ」の心理学              【小説】
─────────────────────────────────
┌───────────────┐
 第7回 「ヤーンの選択」感想
└───────────────┘

 「グイン・サーガ」の新刊、「ヤーンの選択」が発売されました。
 「グイン・サーガ」ファンの方は、当然、読破されているでしょうから、
以下、ネタバレで感想を書いていきますので覚悟してください。

 珍しく大事件の起きない巻でした。

 イシュトの出発というのは、意外ではありましたが、
いつかは行くだろうという感じで、時間の問題ではありましたから。

 今回の一番の見どころは、スカールの告白。
 スカールとヨナとの対話場面です。
 
 ナリス亡き後、「古代機械」の謎を解き明かすのは、
グイン本人でなければ、ヨナしかいなくなってしまいました。

 そして、ノスフェラスの謎を垣間見た唯一の(魔道師ではない)人間である
スカール。
 
 この二人の出会いの意味。
 それが、本巻でかなり明確になってきました。

 二人の「求道者の出会い」とでも言いましょうか・・・。


 今回のスカールの告白の中で驚かされたのが、
スカールが妙に元気そうな反面、それは魔道によって生かされている
にすぎない、という秘密です。

 スカールというキャラクターは、ナリスの次に死ぬとばかり思っていました。
 
 少なくとも、今回のスカール登場の前のイメージでは、
衰弱して、瀕死の状態だったはずです。

 そのスカールが見事な復活をとげたのが、前号であり、今号だったのです。
 
 この調子でいけば、スカール対イシュトバーンの因縁対決が、
もう一度、実現してもおかしくないくらいです。

 イシュトバーンの瀕死の重傷からの回復。
 今号の、スカールの瀕死の状態からの回復。
 二人の主要キャラが、瀕死の状態から回復しています。

 これは、栗本薫自身の回復とオーバーラップしていることは、
間違いないでしょう。
 自らの調子が良いからこそ、書ける描写ではないでしょうか。

 そして、重要なのは、スカールが魔道の力で生かされている
というようなことを告白していることです。

 確か、栗本薫も、あとがきで、みなさんのおかげで生かさせていた
だいている、といったことを以前書いていたように思いますが、
栗本薫の「人に生かされている感覚」というのが、
スカールというキャラクターを通して表現されていた、
というのが「ヤーンの選択」における私の発見です。

 あなたはどう感じましたか?


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今回の記事に関連して、
「第15号 仕事ができるビジネスマンの正しいお酒との付き合い方」が、
お勧めです。

 参考のために、「第15号」の目次を紹介しておきます。

─────────────────────────────────
ハンコックはアルコール依存症だった。あなたは大丈夫?
   仕事ができるビジネスマンの正しいお酒との付き合い方
─────────────────────────────────
    【目次】
■1 はじめに 酒にだらしない日本人
■2 ハンコックは、アルコール依存症だった
■3 西部劇ではなぜ、酔っ払いが牢屋に入っているのか?
■4 身分証明書がなければ絶対に酒は売らない
■5 アルコール依存症は、珍しい病気か?
■6 ハリウッド・セレブたちを犯すアルコール依存症
■7 あなたは大丈夫? アルコール依存症をセルフチェック
■8 アルコールが引きおこす致命的な健康障害とは?
■9 フィリップ・K・ディックとカプグラ症候群
■10 シャリーズ・セロンの父はアルコール依存症だった!!
■11 「酒は百薬の長」は、本当か?
■12 ストレス発散のための飲酒は良いことか?
■13 アルコールとうつ病の危険な関係
■14 週1日は休肝日を
■15 アルコールは不眠症に効果がある?
■16 グチりながら酒を飲むのは絶対にやめろ!!
■17 イッキ飲みは殺人である
■18 ビジネスに役立つ飲み会術 ~ 一緒に飲みに行く相手を選べ
■19 樺沢流 お酒で親密になる方法
■20 樺沢流 酒の楽しみ方
■21 まとめ 正しいお酒との付き合い方
■22 参考文献、参考サイト
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            ● 第31号 ●  

─────────────────────────────────
石川遼くんに学ぶポジティブ思考の極意 / 
    樺沢の出版講座 出版で何が変わる?
─────────────────────────────────
    【目次】
■1 はじめに 

■2 石川遼の心理学 
    第2弾 石川遼くんが人気者である心理学的理由
	 						【ビジネス】

■3 樺沢の出版講座 出版すると何が変わるのか?
               		    【ビジネス】【出版】

─────────────────────────────────
■1 はじめに 
─────────────────────────────────

 私は、2009年3月3日に、
「精神科医が教える1億稼ぐ人の心理戦術」(中経出版)
http://01.futako.info/a/1okukasegu.html
を出版しました。

 無料メルマガ「ビジネス心理学」のバックナンバーを大幅加筆して
再編集したものです。

 感想が届きはじめていますが、かなり好評です。

 既に書店に並んでいますが、
試しに、サンプル版を読んでみてください。

●「1億稼ぐ人の心理戦術」32ページ相当のサンプル版
http://www.saikyo.bizshin.com/a/file1/1oku.pdf

 当メルマガの読者の方であれば、必ずおもしろく
お読みいただけると思います。

「精神科医が教える1億稼ぐ人の心理戦術」
http://01.futako.info/a/1okukasegu.html


─────────────────────────────────
■2 石川遼の心理学 
─────────────────────────────────
┌────────────────────┐
 第2弾 遼くんに学ぶポジティブ思考の極意  
└────────────────────┘ 

 石川遼くんの初めての米ツアー出場が期待された
アクセンチュア・マッチプレーでは、「補欠」ということで
出場機会を待つたものの、結局出場はできませんでした。

 そして、続いて行われたノーザントラスト・オープンでは、
ついに米ツアーへのデビューを果たします。
 しかしながら、わずか3打差で決勝進出は果たせず、
予選落ちとなりました。

 やはり世界の壁は厚かった・・・とガッカリして気落ちしても
全くおかしくない状況ですが、遼くんは違いました。


 インタビューでは次のように語っています。

「(ノーザントラストは)自分の中ではそんなに悪い内容ではなかった。
 それでもカットラインに3打届かなかったので、何が足りなかったのか
考え、やれることをしっかりやりたい」

 また、さらに自らの意見を自分の言葉語っている
石川遼ブログには次のように書いています

http://www.ryo-ishikawa.jp/blog/
以下、引用

ココカラ

出場できませんでしたが、
アクセンチュアマッチプレーが開催された
ザ リッツ カールトンは
グリーンのアンジュレーションが大きくて
アプローチ、パッティングに
練習から苦しみました( ̄▽ ̄)b

世界の選手のスウィングをこの目で
見ることができたし

その他にもたくさんいい練習ができました。 

ココマデ

 遼くんは、究極のポジティブ思考の人だなあ・・・と私は再認識しました。

 出場できなかった「アクセンチュア」にしても、
「失敗体験」ととらえておらず、
「世界の選手をこの目で見られた」「とても勉強になった」
というのです。

 「失敗は、成功のもと」という諺があります。

 この諺は、ポジティブ思考を促す諺だと思いますが、
遼くんの前では、この諺自体が、ネガティブに見えてきます。
 
 遼くんにとっては、
「うまくいかなかった体験」は、「失敗」ですらないのです。
 
 最初から、「貴重な経験」であり、「勉強になった体験」として
認知しています。

 「失敗したー」と、いちいち落ち込むのは時間の無駄ですし、
落ち込めば精神的に立ち直るのに、時間と精神エネルギーを
必要とします。

 「失敗は、成功のもと」ではなく、
 「全ての経験は、成功のもと」なのです。

 多少のつまづきは、「失敗」ではなく、「肥やし」なのです。
 
 その辺を彼は、本当に理解しています。
 だからネガティブな発言がまったてく出てきません。


■ 感情や気持ちは、伝染する

 こういう失敗を目にしたマスコミは、
普通なら
「世界の壁は厚かった」とか
「遼くん、世界はまだ早い」とか、
格好のバッシングのネタにするはずですが、
そういう否定的な報道ほとんど出なかったのが
おもしろいと思いました。

 ここで遼くんがガッカリしたり、意気消沈した表情を見せると
そういう報道になるのでしょうが、
遼くんが笑顔で「とても勉強になりました」と言ったもんだから、
マスコミもそれにつられて、ポジティブに報道せざるを得なくなった・・・
ように見えます。

 心理学では、「情動伝染」と言います。

 他者の特定の感情表出を知覚することによって、
自分自身も同じ感情を経験する現象を、
心理学では「情動伝染」と言います。

 日常生活において、楽しそうに笑っている人を見て自分も明るい
気持ちになり、悲しい目にあった友人の話を聞いて自分も暗い気持ちになる
ということは、誰でも経験することです。

 あるいは、怒っている人と話していると、「情動伝染」によって、
こちらも怒りがこみ上げてきて、語気が荒くなってしまいます。
 
 否定的な感情を持った人に皮肉めいたことを言われると、
こちらにも否定的な感情がわき上がるのです。

 逆に、いつも笑顔で接してくれる人と一緒にいると心が暖かくなります。
 そういう人に対しては自然と好感を抱き、何か応援したい気持ちになります。


 石川遼くんは、試合に出られなくても、予選で敗退しても常に笑顔。
 「勉強になりました」とポジティブにとらえる。
 見ている方も、気持ちいいのです。
 
 彼を見ていると、彼自身の明るい気持ちが我々にも伝わって、
明るい気持ちにさせてくれます。

 石川遼くんの凄い人気は、「情動伝染」と深く関係していると思います。、


■ ギャル曽根と情動伝染

 「情動伝染」で成功している人。
 他に芸能人で例をあげるとすれば、ギャル曽根さんがそうです。

 昨日、テレビで「3分間で寿司30貫を食べられるか」という
チャレンジに挑んでいました。
 6秒に1貫食べなくてはいけない時間勝負。
 
 しかし、彼女はまず「いただきます」と行儀よく挨拶からはじめて、
1貫食べてニッコリと笑って、「これおいしいですね」とコメント。
 
 それから2、3貫食べて、「本当に、このお寿司おいしいです」と
さらにコメント。
 完全に時間勝負なので、そんなコメントをしている余裕は全くありません。
 
 中盤、かなりの遅れを見せながら、最後には時間きっかりで30貫を完食し、
最後には「ごちそうさまでした」とまた丁寧に言いました。
 
 ある意味、見ていて感動的でした。
 
 ギャル曽根さんは、「大食い」ですが、「おいそうに食べる」ということ。
 そして、食べ物に対する感謝の念を忘れないというところが、
見ている人に好感を与えるのです。

 たった3分間の早食い勝負でも、その基本を忘れなかった彼女は
さすがだなあ・・・と思いました。

 ギャル曽根さんは、大食いブームで人気が出てから、もう何年もたちます。

 そろそろ飽きられてもおかしくないはずが、依然ととして高い人気と
好感度を持っているのは、「おいしそうに食べる」ことと「食べ物への感謝」
を忘れないからなのでしょう。

 おいしそうにご飯を食べる人を見て、不快な感情を持つ人は、
まずいません。
 
 ガツガツ食べたり、汚らしく食べるだけの大食いなら、
すぐに飽きられてしまうでしょう。
 
 ギャル曽根さんも、遼くん同様、
「情動伝染」をうまく人気につなげて成功しているなあ・・・
と、つくづく思います。


■ 情動伝染で人気を下げている人と言えば・・・

 いつも明るく接しよう。いつも笑顔で接しよう。
 そうすれば、相手にも気持ちが「伝染」して、相手も
明るい気持ちになる。
  
 と言葉で言うのは簡単ですが、実際はそう簡単ではありません。
 
 プラスの感情ではなく、マイナスの感情も「伝染」してしまうからです。
 
 おそらくは、プラスの感情よりもマイナスの感情の方が、
はるかに伝染しやすい、といえるでしょう。

 あなたが怒り出せば、相手も怒り出す。
 あなたが、イライラすれば、相手もイライラする。

 こうした「負」の「情動伝染」は、注意しないと、
大きな悪印象を与えます。

 「負」の「情動伝染」で最近、最も失敗している人といえば、
麻生総理大臣ではないでしょうか?

 例えば、麻生総理の会見。
 自分に対するバッシングに腹を立てて、
苦虫を噛み潰したような表情で、皮肉めいた発言をすることがよくあります。

 しかし、翌日の新聞には、その発言に対して、
さらにバッシングの記事が並ぶだけです。

 「怒り」や「攻撃心」というのは、人に向けると全て自分に返ってきます。
 人の悪口を言う人間は、人からも悪口を言われるのです。

 最近の、マスコミの麻生批判を見ると、何を発言しても批判するという、
揚げ足取りみたいセコイ記事が多いので、麻生総理のイラつきも
理解しないわけではありませんが、
テレビカメラの前や記者の前では、
絶対にマイナスの感情を露わにすべきではないでしょう。

 何一つ、メリットはありませんから。


■ ストレスをため込みすぎると・・・

 ということは、悪口を言わずに我慢しろということか?
 そんなことを続けていては、ストレスがたまってしょうがないじゃないか?
 
 と思う人も多いと思います。

 「我慢する」のではなく、「発想を変える」のです。
 
 遼くんの会見をご覧ください。
 
 「失敗した~」「残念だ~」「僕って、なんてダメな人間なんだ」
という気持ちを我慢した上で、平静を装い、
笑顔で無理しながら「とっても勉強になりました」と言っている
ように見えますか?
 
 そうではないですね。

 「失敗した~」「残念だ~」「僕って、なんてダメな人間なんだ」という
否定的な感情は、最初から微塵も持っていないでしょう。
 
 多少「くやしい」という気持ちはないわけではないでしょうが、
「とっても勉強になりました」というのは、彼の本心だと思います。

 ですから、「無理してポジティブ思考を装え!」というのではなく、
最初からポジティブ思考しか出てこないように、
思考回路を切り替えていかなくてはいけないのです。


■ 淀川長治に学ぶポジティブ思考

 映画評論家の淀川長治さんを、ご存知でしょうか?
 
 長く「日曜洋画劇場」の映画解説をつとめられ、
「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の決めぜりふで知られていました。
 
 淀川さんと言えば、どんな映画でも誉めます。

 高校生とか、大学生の頃は、正直、淀川さんが好きでは
ありませんでした。
 淀川さんの偉大さが理解できなかった、というのが正しいのでしょうけど。
 
 「どんな映画でも誉めるとは映画会社の回し者か・・・」という気がして、
信用ならなかったのです。

 しかしながら自分で映画評論を書くようになり、
そして精神科医になってから、
はじめて淀川さんの凄さに気付きました。

 映画をけなす。
 映画を批判する、というのは、実は、簡単なことなのです。

 誰にでもできます。
 映画評論家じゃなくてもできます。 
 小学生でも、中学生でもできます。
 電車に乗ったら、中学生が、昨日みた映画の悪口を言い合っている場面を
見かけたりします。

 映画の批判というのは、ど素人でもできますので、
わざわざプロの映画評論家がお金をとってする必要性など
微塵もないのです。

 しかし、一見つまらない映画に、何らかの魅力を発見するという作業は、
素人にはできないのです。
 
 映画評論家、それも熟練した、目の肥えた評論家にしかできないのです。
 
 芸術というのは、「視点」というのが重要で、視点を変えれば
駄作も傑作に変わる可能性を秘めています。

 あるいは、95%つまらなくても、5%はおもしろい部分が
あるとします。

 どちらに注目するのか?
 その違いです。
 
 95%に注目すれば「つまらない」ということになる。
 5%に注目すると「おもしろい」ということになります。

 着眼点、見方、視点、考え方。
 
 そこを変えるだけで、
「つまらない」ものが「おもしろい」ものに転換されるのです。

 おなじ1800円を払って2時間という時間を費やす。
 「つまらない」体験をするのと「おもしろい」体験をするのとでは、
どちらが得でしょうか?
 
 当然「おもしろい体験」をする方が得なはずです。

 淀川さんは、言います。

 「どんなくだらない映画でも絶対いいところがある。
  それを拾ってみんなに説明するのが私の使命」

 実に深い言葉です。

 人間とつきあう場合もそうです。
 
 自分自身の経験の受け止め方もそうです。

 「5%のボジティブな部分に注目できる能力」は、
非常に素晴らしいことです。

 つらい体験のなかにもポジティブな体験を
自然と見いだせるようになると、
石川遼くんなみのポジティブ思考が可能となるでしょう。

 そうなれれば、逆にストレスが溜まらなくなります。
 ストレス・フリーになり、毎日が楽しくなります。


■ 思考法の転換 慢性疼痛のAさんの一例

 そんなこといっても、どうやって「ネガティブ思考」から
「ポジティブ思考」に切り替えるのか? 

 そんなに簡単にできるはずない、と思われる方も多いでしょう。

 私の患者さんの一人、Aさんの例をお話ししましょう。
 
 50代女性のAさんは、交通事故で下肢を骨折してから、
ひどい痛みに悩まされるようになりました。
 
 24時間、痛くないときはない、と言います。
 整形外科医の話では、外科的には治癒しているので、
そんなに痛みが出るはずはないと言います。

 これは、「心因痛」「慢性疼痛」といって、
精神的な原因が主となって、激しい痛みを呈する疾患です。

 Aさんは、毎回、通院のたびに
「痛い」「苦しい」「つらい」「死にたい」と
ネガティブな言葉を連発します。

 「いつも痛い。痛くないときはない。
  こんな状態なら、死んだ方がまし。」
 
 こんな話を堂々巡りで続けるのです。

 精神科カウンセリングの基本は「傾聴」です。

 患者さんの話をじっくりと聞いていけば、
「荷下ろし効果」でスッキリとした気持ちになり、
不安感や心配な気持ちが緩和されます。

 しかし、Aさんの場合、むしろ話すことで「この先どうすればいいんだ」
と不安感をつのらせて、余計に落ち込むような場面もありました。
 
 ネガティブ思考を言語化することで、より思考がネガティブに偏って
いったのです。

 そこで、「ここ2週間で何か楽しいことはなかったのですか?」と
尋ねます。
 
 Aさんは、「特にありません」と答えます。

 「本当に一つもありませんか? よく思い出してください。」
と言います。

Aさん「苦しいことばかりで、楽しいことなんか一つもありません。」

樺沢「本当に一つもありませんか? 何か一つくらいあるでしょう。
   よく思い出してください。凄く楽しいということでなくても、
   ちょっとだけ楽しかったこととか・・・ありませんかね」

Aさん「そういえば、3日前に友達が遊びに来て、2時間ほどお話をしました。
    ケーキを買ってきてくれて、お茶を飲んで。
    けっこう、楽しかったです。」

樺沢 「そうですか。苦しいことばかりじゃなくて、
    楽しいこともあるじゃないですか」

Aさん「そういえば、そうですね。」

樺沢 「来週から、カウンセリングの最初に、最近楽しかった出来事を 
   必ず三つ以上話してください。苦しい話は、そのあとゆっくりと
   うかがいます。」

 私は、Aさんの言いたいことを黙って聞く「傾聴」から、
治療方針を少し変更しました。
 
 「苦しいこと」はあまり聞かないようにして、
「楽しいこと」を中心に、そして「楽しいこと」をできるだけたくさん
話してもらうようにしたのです。


 次回からAさんは、「最近の楽しかったこと」を三つ以上メモしてきて、
それを話してくれるようになりました。

 不思議です。
 今まで「楽しい話」など一つも話さなかったAさんが、
些細な話題もありますが、「楽しい話題」を
たくさん話すようになってきたのです。

 そうすると、不思議なことに「痛み」の話題が減ってきたのです。。
 つまり「痛い」「苦しい」「つらい」「死にたい」という言葉が
減ってきたのです。

 日常生活の中で埋もれていた、「楽しい出来事」にフォーカス
できるようになってきた、と同時に「苦しい出来事」を
意識しないようなってきたのです。
 
 薬を増やしたわけでもないのに、「痛み」の訴えが減ってきたのです。
 これは、すごい変化です。

 その後、外出頻度も増えて、一人で買い物にも行けるようになり、
いつも陰鬱だった表情にも、笑顔が見られるようになりました。

 治療期間は、たったの2、3ヶ月です。

 たった、2、3ヶ月で、考え方を切り替える。
 
 ポジティブ思考を身につけることができるのです。


 意識をどこに向けるのか?

 楽しいことか? 苦しいことか?

 たった、これだけで人生は「明るく」もなるし、
「お先真っ暗」にもなります。


 出来るだけプラスの出来事。
 楽しいことを思い出して言葉に出して言うようにする。
 
 もし言う相手がいなけれぱ、今日起こった「楽しかった出来事」を
日記に書くということでもいいでしょう。
 
 毎日の中で、苦しいことは90%。
 楽しいことは、10%しかないかもしれません。

 その楽しい10%をできるだけ思い出して、言葉で表現したり、
日記のように文章にしたりして、アウトプットするのです。

 これは専門用語で言えば、「認知療法」ということになりますが、
原理と方法は非常に単純です。

 このように認知を変えるように少しずつ訓練していくと、
無意識に「楽しいこと」「ポジティテプなこと」に
自然と注意は向くようになっていくのです。
 

■ グチり酒は絶対にやめろ

 先日、新橋のガード下の居酒屋に行きました。
 正直、二度と行きたくないです。
 
 二人で4千円ほどですから、かなり安く飲み食いできましたし、
値段の割に料理もおいしかった。
 
 しかし、客が良くない。
 
 隣のサラリーマンは、二人でえんえんと上司の悪口を言い続けています。
 後ろにいる女性の二人組も、また同僚の悪口や不満ばかりです。
 ネガティブなエネルギーが猛烈に吹き荒れていました。

 正直、無関係な私が聞いていても不快です。

 「ストレス発散」なのはわかりますが、
言い換えると「ネガティブ思考のオンパレード」です。

 とにかく、考え方がネガティブ、ネガティブ、ネガティブなのです。
 
 そんな考え方しかできないから、仕事で成功できない。
 出世も出来ない。良い仕事が自分に回ってこない。 
 全て原因は自分にあるんじゃないか・・・と言ってやりたくなります。

 ネガティブ思考は「不運」と「不幸」しか呼び寄せません。
 間違いないです。
 
 酒を飲みながら、悪口やグチを言っていると、
そうしたネガティブなマインドが脳にインプットされます。
 
 お酒を飲んで酔っ払うと、ホワーンというホロ酔い感覚で、
理性が弱まります。これは、催眠術にかかった時のような、
「軽い催眠状態」に近いものだと思います。

 ですから、こうした状態をうまく使うと、異性を口説くのには
いいかもしれません。

 しかし、上司や同僚の悪口を言うのは、絶対にやめましょう。
 
 人の欠点を捜して誹謗中傷するようなネガティブな思考パターンが、
酩酊状態のもとで、徹底的に強化されていくからです。
 
 結果として、物事をネガティブにしかとらえられないようになっていきます。

 「成功法則」の本を読むと、「ポジティブ思考を身につけよう」という
ことが必ず書いてあると思います。

 あなたも、知識としては、ポジティブ思考を身につけることが
成功者になるための近道である、と知っているはずです。

 しかしながら、居酒屋に行って上司や同僚の悪口を言いながら酒を飲む、
というのは、「ポジティブ思考を身につける」というのと
全く反対の行動なのです。

 どれだけビジネス書を読んでプラスのインプットをしても、
すべて飲み会のマイナス・トークで中和されるでしょう。


■ まとめ

 ポジティブ思考が自然とできるように訓練しましょう。

 一方で、ネガティブ思考を強化するような行動は、
極力さけるべきです。

 人の長所を探す。そして、人の長所から学ぶべきです。

 ポジティブ思考をしていると、心の余裕を生み、自然と笑顔が多くなり、
明るい雰囲気になります。

 そうした和やかな雰囲気が「情動伝染」します。
 相手の気持ちも和やかになり、結果としてあなたの好感度が
高まります。

 結果として、石川遼くんのような人気者になれる
かもしれません。


■ 蛇足 ジム・キャリーの新作に期待

 ポジティブ思考で思い出したのが、ジム・キャリーの新作
『イエスマン “YES”は人生のパスワード』です。

 仕事にもプライベートにも「ノー」や「イヤだ」ばかりを言い続けてきた
ネガティブ思考の塊みたいな男、銀行員のカール(ジム・キャリー)。

 彼は、自分の人生を変えるため、すべてのことに「イエス」と答える
ことにします。
 「車で送って」「携帯電話貸して」「お金ちょうだい」と
無理難題に立ちむかいながら、カールのポジティブライフが始まります。

 今までの自分なら絶対に選ばなかった行動が、新しい出会いや
ラッキーを運んできます。
 果たして、カールはどのうよな人間に変わるのでしょうか?

 2009年3月20日公開。
 ネガティブ思考の人にとって、ポジティブ思考の人に生まれ変わる
ヒントがあるかもしれません。

『イエスマン “YES”は人生のパスワード』
オフィシャル・ページ
http://wwws.warnerbros.co.jp/yesman/


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■4 樺沢の出版講座 出版はあなたの人生を変える
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 今回は、私の新刊の出版にからみまして、「出版」の話をしたいと
思います。

 「心理学」とは直接関係ないかもしれませんが、
ビジネスで大きく成功するためには「出版」は、
不可欠なものです。

 今回の話は、私のかなり貴重な体験に基づいていますので、
どこにも書かれていないユナークな話になっていると思います。


 さて、ビジネスをやっている人であれば、
おそらくは「自分の本を出版したい」と思っているはずです。

 書店に並ぶたくさんのビジネス書を見て、
「自分もいつか本を書けるようになりたい」と考えるのは、
実に普通のことだと思います。

 そんな人のために、「出版」のメリット。 
「出版」するとどんな良いことがあるのか、をお話ししたいと
思います。 


■ 心理学のハロー効果

 出版のメリットを一言で言うならば、
出版による「ハロー効果」が得られる、ということに尽きるでしょう。

 ハロー効果(英:halo effect)とは、心理的効果の一つで、
ある対象を評価をする時に、顕著な特徴に引きずられて
他の特徴についての評価が歪められる現象のことです。
 認知バイアスの一種です。

 一般にポジティブな方向への歪みを指すことが多いですが、
ネガティブな方向へのハロー効果も存在します。

 ハローとは、「後光が差す」という時の後光、聖像の光背や光輪のことで、
後光効果、光背効果とも呼ばれます。

 例えば、有名人やタレントを使ったCMや広告によって
その商品やサービスを実際に使ったり、見たりした事がないにも関わらず、
「その商品は良い物だ」というイメージが、勝手にできあがります。

 それによって購入意欲が刺激されたり、購入を促進したりするわけで、
これもハロー効果ということになります。

 例えば、ある人が「難関大学卒」であった場合、
その人が学力においてだけでなく、人格的にも優れてると
思い込んでしまうことがあるでしょう。
 これもハロー効果です。
 
 実績とか、肩書きとか、権威。

 そういったものがあると、本来の評価が歪められます。
 多くの場合、本人を過大評価してしまう・・・ということです。

 例えば、私のプロフィールには、
「アメリカ、シカゴのイリノイ大学に3年間留学」と書かれています。
 
 これを見ると、3年間もアメリカに留学していたんだだから、
樺沢はさぞかし流暢に英語を話すに違いない・・・と思うでしょう。

 しかし、私の英会話能力はかなりお粗末です。
 謙遜ヌキで(笑)。

 「アメリカ留学」という「ハロー」(後光)のおかけで、
かなりプラスのイメージで評価して貰える。
 いろいと得をするということがあります。


■ 出版の「ハロー効果」とは?

 「本を出しています」と言うと、ほとんどの人は「凄いですね」と言います。
 
 また、名刺の裏に、「著書 ●●●●」と
出版した本のタイトルを書いておくと、
名刺を見た人は、やはり「凄いですね」と言います。


 一冊でも本を出している人は、
他の人から見ると「著者」であり「作家」なのです。

 「本を出す」ということは、そう簡単なことではありません。
 一定の知識レベルがないと出きません。
 結構、大変なことです。

 つまり、「本を出している」ということは、
「その道の専門家である」という証拠であると言えるわけです。

 世間一般常識で見て、「本を出している人=凄い人」という
認識が間違いなく存在しています。

 しかし、本を出しているから、すごい人なのか?
 本当にそうなのか?

 本を出しているから凄い知識量を持っているのかというと、
必ずしもそうとは限りません。


 本を読めばその人の力量というのはだいたいわかりますが、
ほとんどの人は、その本を読まずして、
「本を出している」という事実だけで「凄い人」と
勝手に判断してくれるのです。

 これは、本人の実力とは無関係なので、
やはり「ハロー効果」なのです。


■ 本を出している人は、その道の専門家である

 私は、「北海道スープカレー読本」(亜璃西者)という本
http://01.futako.info/a/soupcurry2.html 

を出しています。

 その本を読んだ人は、「樺沢紫苑は、スープカレーの専門家だ」と
判断します。

 また、本を読まなくても、

樺沢紫苑の名刺に

 著書「北海道スープカレー読本」

と書いておけば、同様の効果が得られます。


 つまり、「スープカレーの本を出しています」ということは、
「スープカレーの専門家である」ということを、
それ自体が証明してくれる、いわば証明書のような効果があるわけです。

 これは非常に重要です。


 ですからあなたが何かの「専門家」としてブランディング
したいのであれば、
そのジャンルについての本を書いて出版すればいいのです。


 それがものすごく内容が濃い本であったり、
あるいはたくさん売れて、マスコミで取り上げられたりすれば
越したことはありませんが、必ずしもそうでなかったとしても、
十分に出版のメリットは得られるのです。


 例えば、私の「北海道ス―プカレー読本」は、
東京の書店ではジュンク堂にでも行かない限りおいていませんので、
東京の人で読んだことがある人は非常に少ないと思います。
 よっぽどのカレーマニアでもない限り、読んでいないでしょう。

 しかし、名刺にただ「北海道ス―プカレー読本」出版 
と書いておくだけで、本を読んでいなくても、
あるいは仮に本が絶版になっても、
「スープカレーの専門家である」という宣伝効果を
永久に発揮してくれるのです。

 その価値は、計りしれません。


■ 紙媒体独特の価値観

 「紙媒体」の人。

 つまり、新聞や雑誌など出版関係の仕事をしている人は、
「紙媒体」に対して誇りを持っています。

 自分たちの媒体は凄いし、影響力がある・・・と信じています。

 インターネットが隆盛しつつある現在でもそうです。

 今や「紙媒体の威力」というのは神話になりつつあるのですが、
「紙媒体」の仕事をしている人は、
「本」というものに、特別な存在価値を見いだしています。
 

 そういう人に対して、私は「1万部のメルマガを発行しています」
「毎日1000ヒットのブログ」を持っています・・・と言っても、
あまり話が通じません。

 「凄そう・・・」
 「凄いかも」

くらいは、思ってもらえるのですが、
心から「この人、本当に凄いなあ」とは、思ってくれません。


 紙媒体の人にとっては、
「1万部のメルマガを発行している」ことよりも、
「本を1冊出版している」ことの方が、はるかに大きな意味を持つのです。


 「1万部のメルマガを発行しています」と言っても、
「所詮インターネットでしょ」という軽蔑の気持ちが、
どこかにあります。

 それで、出版関係の人は、
「既に本を出版している著者である」ということを明かすと、
はじめて対等に付き合ってくれるのです。


 例えば企画書を出すにしても、
そのプロフィール欄に
「メルマガ10万部を発行」よりも
「既に、本を出版」と書いてある方がはるかに重要な意味を持つのです。
 
 これが、編者者や新聞記者の価値観です。


■ ネットだけでは相手にされない

 私は、「札幌激辛カレー批評」というホームページを運営てしています。
http://www.kabasawa.jp/curry/curry_home.html

 今は、更新していないのでアクセスはほとんどなくなってしまいましたが、
以前は、アクセス数が1日で最大で3,000くらいありました。

「スープカレー」の検索ではYahoo! も Googleも1位、
「カレー」で検索しても5位以内に入るとという凄い時代がありました。

 札幌のカレー情報だけを出しているのに、
1日3,000ヒットという数は、すごいです。

 「●●のカレーがおいしい」とサイトに書くと、
それだけで次の日にその店に行列ができたりします。
 おそろしい影響力です。


 札幌で、インターネットをしているカレーファンの間で、
「樺沢紫苑」という名前を知らない人はいなかったのですが、
新聞や雑誌から取材を受けたことは、何と一度もありませんでした。

 タウン誌のカレー特集で何回か企画の持ち込みはありましたが、
それくらいです。

 インターネットの世界ではチョー有名人だというのに、
メディアからは全く声がかからなかったのです。

 スープカレーがこれほど話題になっているのに、
「なぜ自分に取材依頼が全くこないのか」・・・
その理由が、昔は、全くわかりませんでした。
 

 それが、「北海道スープカレー読本」を出した途端に、
新聞社から取材が殺到し、テレビからも出演依頼が来るようになったのです。

 「北海道新聞」をかわきりに、「朝日新聞」「読売新聞」と
主要新聞三紙から取材を受けました。

 これが、「出版」のパワーです。


 インターネットで大きな媒体を持つ。
 非常に重要なことです。

 しかし、新聞やテレビという大きなメディアに相手にされるためには、
最低「出版」くらいはしていないといけない・・・ということです。

 ですから、「出版」は非常に重要です。

 ステップ・アップのためには、通らざるを得ない、
重要な通過点です。


■ 「取材」依頼は、どこから来るのか?

 なぜ「出版」すると、新聞や雑誌などの紙媒体から、声がかかるのか?
 
 それには、もう一つ理由があります。

 たとえば、新聞で「スープカレーの特集」をするという場合。
 新聞記者は、どうやって情報を集めるかわかりますか?

 インターネットで「スープカレー」で検索する。
 これが普通の発想だと思うでしょうが、そうではありません。

 今の若い人はインターネットで情報を取るでしょうが、
40代、50代の記者は、おそらく書店に行くでしょう。

 書店に行って、食・グルメ関連のコーナーに行って、
「スープカレー」の本を探します。

 そして、良さそうな本を何冊か買うのです。 
 
 そして、最も良く書けている著者に、
「取材させてください」と連絡をとるのです。

 これが、新聞や雑誌などの、昔ながらの取材の方法です。


 本を出している人が専門家なので、
「本を出している専門家を取材すれば間違いない」という発想を
彼らは持っているのです。


 ですから、新聞や雑誌から取材を受けたければ、
本を出版して、それが書店に並んだ状態になっていれば、
いつか声がかかるでしょう。

 
 最近の若い人。
 たとえば、タウン誌の記者とか、20代の記者は、
インターネットで情報をとります。

 「スープカレーの特集」をするという場合、
「スープカレー」というキーワードで、GoogleかYahoo! で検索して、
上位から5サイトくらいをチェックして、
その中で、最も知識のありそうな人に、取材を申し込むでしょう。

 若い人は、インターネット中心の取材依頼をします。

 紙媒体の人は、「本」の著者に、取材依頼をします。


 つまり、GoogleやYahoo! で自分の専門分野で上位表示させること。

 そして、サイトにしっかりとコンテンツをあげておいて、
サイトの訪問者に「その道の専門家」という印象を与えられれば、
取材は来ます。


 もしあなたが新聞や雑誌から取材を受けたいのなら、

♯ 本を出版する
♯ ホームページを作って上位表示をする

 この二つが効果的であり、絶対に実行すべき方法であると思います。


■ 「出版」を皮きりに「取材」の連鎖が起きる

 それなりの媒体に一つ紹介されると「取材」の連鎖が起きます。
 
 テレビでもそうでしょう。

 例えば、最近「みそラーメン」がブームになっているようですが、
どこか1社が「みそラーメン」の特集を放送すると、
他社も後追いで、必ず同じような企画をやります。

 新聞もテレビも同じで、とごか新聞1社に取り上げられればしめたもので、
そのあとはその新聞記事を見て、別な新聞社や雑誌から取材が入ります。

 また、次の記事を見て、また別なところから取材が入る。
 
 最初に一つ「取材」されると、次々と連鎖的に取材依頼が入るのです。

 つまり、「出版」というのは、連鎖反応の「最初の反応」に過ぎません。
 
 「出版」それ自体には、さほど大きな意味はないのですが、
「出版」が引き起こしてくれるリアクションが重要なのです。


 実例を挙げます。
「北海道スープカレー読本」を出版した時の話です。

 最初に、北海道では最大規模を誇る、「北海道新聞」がとりあげて
くれました。

 精神科医がカレーの食べ歩きをやっているということが
おもしろかったようで、インタビューだけで3時間もかけていただき、
紙面もかなり大きくとりあげていただきました。

 そうしたら、すぐに「朝日新聞」「読売新聞」と主要新聞2紙から
立て続け取材依頼が来ました。

 「朝日新聞」では、それがきっかけで、コラムへの連載依頼をいただき、
「朝日新聞」北海道版ではありますが、半年ほどコラムの連載をしていました。


 新聞の次はテレビです。
 新聞を見たテレビ・ディレクターが興味を持って、取材依頼をしてきました。

 テレビのニュース番組の密着取材を受けましたし、
アナウンサーと一緒にワイドショーのカレーの食べ歩きもしました。

 ラジオも3番組ほど出演しました。

 大泉洋が所属することでも知られるTEAM-NACS。
 TEAM-NACSのリーダーである森崎博之さんのラジオに電話出演して、
森崎さんとカレー談義もしました(笑)。

 そんなわけで、私は北海道ではかなり有名人になりました。

 「北海道スープカレー読本」は、冊数的にそれほど売れたわけでは
ないのですが、内容は良かったので、私がスープカレーの第一人者で
あることを証明するのには十分だったようです。

 そして、スープカレーの第一人者としてのブランドを
確固なものとすることができたのでした。


■ 日本人はテレビに弱い

 テレビというのは、「究極の後追いメディア」です。

 とにかくテレビというメディアは、冒険することが大嫌いなので、
しっかりとした、問題のない人物でなければとりあげてくれません。
 
 一方で、テレビ界の人たちは、横並びが大好きです。
 
 例えば、どこか一社が、「茂木健一郎」先生を司会者として
起用したとなれば、うちもうちもということで、他社も後追いをします。
 これが、テレビです。

 テレビというのは、「中間」というのがなくて、
「0」か「100」かのメディアです。

 お笑い芸人も、人気があれば毎日のように番組に出ているのに、
人気がなくなったとたんに、全く出なくなります。
 限りなく「0」になります。


 要するに、「新聞」や「雑誌」などで取り上げられまくれば、
最後に「テレビ」が動きます。

 とにかく、フツーの人というのは、テレビが大好きです。
 テレビで報道されることは真実だと勝手に思い込むし、
「テレビに出ている人は凄い人だ」「立派な人だ」と
勝手に思い込みます。

 飲食店なんかは、テレビで紹介されただけで、行列が出来ます。
 テレビで紹介されたからといって、おいしいという保証は
どこにもないのですが、「テレビで紹介されるからおいしいはずだ」
とほとんどの人は、勝手に思い込むのです。

 究極の「ハロー効果」が得られるのが、テレビです。


■ 出版で夢の印税生活は可能か?

 「本を出版するとお金が儲かる」。

 多分、あなたはそう思っているでしょう。

 本を出版していない人は、だいたいそう思っているのですが、
出版自体では全くといっていいほど儲からないといっていいでしょう。
 むしろ、赤字になる人すらいます。

 印税というのは、だいたい5~10%です。
 芸能人とかチョー有名人であれば、10%以上のこともありますが、
普通は10%もらえると良い方です。

 定価1,500円で、印税7%で1冊105円の収益。
 これだけ、「薄利」なものって、今の時代、なかなかないです。

 初版5千部だと印税、52万円です。

 52万円というと、大金に思えますが、一冊出版するのに、
執筆から校正、さらに販売やら、出版講演会とか、関連の作業を
全て含めると数百時間はかかります。

 ちなみに、300時間かけたとすれば、時給1700円です。
 セブンイレブンのバイトよりはましですが、実に安い労働です。

 5万部、10万部売れる本は、ほとんどレアなケースで、
毎月300冊以上の本が新刊されて、増刷がかかるのはたったの2割しか
ないのです。これが現実。

 ですから、印税生活というのは、夢のまた夢です。

 有名な作家さんでも、印税収入よりも、講演会の謝礼や
テレビの出演料の方が多いという方もたくさんいるはずです。

 ということで、出版は儲かりません。

 ただし、それは「出版」だけに限定した話です。
 
 「出版」して、ブランディングして、その後、何をするのか?
 
 そこが大切なのです。

 例えば、「コンサルティング」をしている人ならば、
「出版」を機会にして、コンサルティング依頼が殺到した
という話は、よく聞きます。

 講演やセミナー依頼が殺到したという話も聞きます。

 「バックエンド」ともいいますが、「出版」で集客して、
その次に「バックエンド」を用意しておかないと、
1円にもならない・・・ということになります。

 私のスープカレー本の出版がそうでしたけども(笑)。


 「出版」というのは、スータトラインに立てる権利です。
 
 スータトラインに立ってからどうするのか? 
 何をするのかで、「成功」するかどうかが決まってきます。
 
 「出版」=「成功」ではなく、
「出版」=「成功のスータトラインのチケット」にすぎないのです。

 まあ、スタートラインにすら立てない人がたくさんいるわけですから、
「出版」といううのは、非常に大きなチャンスであることは、
間違いありません。


■ 本は「出版」するだけで楽しい

 「出版」だけではお金にならない。

 ガッカリしましたか?

 しかし、お金にならなくても、「出版」は楽しいです。

 仮に印税が安くても、あるいはあまり冊数が売れなかったとしても、
「出版」自体に楽しさがあり、達成感があります。

 書店に自分の本が並んでいるのを見た瞬間。
 その喜びというのは、何とも表現しようない充実感です。

 その心理を分析するならば、
「出版」というのは、究極の自己実現といえます。


 社会に対して扉が開かれる瞬間です。
 
 今でこそ、インターネットがありますから、
自分のブログやサイトやメルマガを持つことが
簡単にできるようになりました。
 
 インターネットであっても、それは立派な「メディア」です。
 
 不特定多数の人に開かれて、自分のことを全く知らない人がたまたま
サイトを訪れて自分の事を初めて知る、ということがあり得ます。

 しかし、10年前までは、自分のことを不特定多数に知ってもらうという
方法は存在しなかった。

 少なくとも、素人がそういうメディアを自分で所有するということは、
不可能だったのです。
 
 そして、その自分のメディアの第一歩が、「本の出版」だったのです。

 「一対一」のパーソナルな人間関係で存在していたものが、
「一対多」の存在。

 非常に社会的な存在へと転化するのです。


 「一対一」の関係性で生活する限り、自分のことを知ってくれている
人間というのは、たかだか数百人といったレベルです。

 メディアを所有して、社会的な存在になると、自分のことを知ってくれる
人間の数が、一桁、二桁違ってきます。
 
 これを「自己実現」と言わずして、何と言えばいいのでしょうか。


 あるいは、言い換えるならば、「承認欲求」の実現と言っても良いでしょう。
 
 マズローの欲求の5段階。
 「承認欲求」の重要性については、既に何度か紹介していますので、
今回は省略します。
 
 現代人にとって、人から認められる、誉められる、その存在を承認される
ということは、至高の喜びなのです。


 本を出版するには、編集者に認められて、出版会議で会社重役の
承諾をとりつけなくてはいけません。

 編集者に認められて、出版社に認められないと、出版はできない。
 ですから、「出版決定」の段階で既に認められています。 


 そして、本ができあがり、書店に本が並びます。

 1500円の本であれば、その人が立ち読みするなりして、
「1500円の価値がありそうだ」と思わなければ、
「購入」しません。

 つまり、自分の本が「価値ある本」と認められたということ。
 これも承認です。

 そして読んだ人から、感想を聞いたり、感想が送られてきたりします。
 
 「ためになりました」
 「役に立ちました」
 「勉強になりました」
 
と、ポジティブな感想を聞くと、「出版して良かったなあ」と
やはり「承認欲求」が満たされます。

 出版する。書店に並ぶ。売れる。
 
 本を出すと、いろいろな次元で承認欲求が満たされます。

 だから楽しい。
 だからおもしろい。

 というわけです。
 
 つまり、出版すると取材依頼を受けてプランディングに役立つ。
 バックエンドを用意するとお金儲けにつながる。

 そうした、「利益」とは別な次元の満足感が得られるのが出版です。


■ 出版しよう

 以上のように、「出版」というのは、ブランディングには
絶対必須の材料です。

 ですから、
自分自身が有名になりたいとか、
コンサルタント業務をやりたいとか、
マスコミに露出して受注を増やしたいとか、
そういったことを考えているのなら、
絶対に「出版」すべきだと思います。


 じゃあ出版するのにはどうしたらいいのか? という話になるでしょう。
 これを話すと非常に長くなります。
 また、私が出版に漕ぎつけた方法は、既に

ビジネス心理学プレミアム
第21号「樺沢流目標達成術 ~ 一見実現不可能な夢を現実化する方法」
http://01.futako.info/a/backnumber.html 

でお伝えしています。


 ザックリと簡単に言えば、企画書を書いて、編集者に渡す(送る)。
 OKがもらえれば、出版できます。
 ただ、これだけです。

 出版企画書の書き方で、私が参考にしているのは、
この本です。

「自分の企画を本にしよう!」(畑田洋行著、こう書房)
http://01.futako.info/a/kikausyo.html 

 
 「出版というのは自分にはできない」とほとんどの人は思っている
でしょうが、「出版」するだけなら「行動力」さえあれば、
実現可能です。

 本当に出版したいと思って行動すれば、必ず実現できます。


■ 本を出したいのなら、本を書いてみたら?

 最近、出版のセミナーや出版パーティーなどに、よく参加します。
 
 そこには「本を出版したい」という人がたくさんいます。
 
 それでそういう人に聞いてみます。
 
 「ところで、本は書いていますか?」と。

 95%以上の人は、できあがった原稿を持っていません。
 
 出版ノウハウの本を読みますと、「企画書」だけで出版は決まるので、
原稿ができあがっている必要は全くない、と必ず書いてあります。

 しかし、「今まで一冊も本を書いたことがない」人の本を、
企画書だけで出版するか、どうか決めるというのは、
相当に勇気がいることだと思いませんか。

 企画はおもしろいのに、文章が下手という人は、非常に多いそうです。

 ですから私は、本を出版したいのなら、本を書いてしまうのが
一番良いと思います。
 
 企画書を見せるより、200ページの原稿を読んでもらった方が、
絶対に話が早く進むでしょう。

 もし原稿が素晴らしいものであれば、編集者は「絶対に出版したい」と
思うはずです。

 パーティーなどで知り合った編集者に、
「すでに原稿があるのですが、読んでいただけませんか」と言えば、
よっぽど会社のジャンルが違うとかいう場合を除いて、
ほとんどの人は「とりあえず、見せてください」とか
「読むだけなら、いくらでも」と歓迎してくれるはずです。

 「企画書」よりも「完成原稿」の方が、10倍インパクトあって、
10倍話が早いです。

 少なくとも、私の最初の出版「スター・ウォーズ完全解読本」は、
250ページの原稿を書いて、コピーして出版社に送りつけました。
 全くのコネなしです。

 そうしたら6社目で返事がきて、「その原稿に興味がある」というのです。
 
 結局「三一書房」から、出版できました。


■ 書けば書くほどうまくななる

 私が、「本を出したいのなら、本を書いてみたら?」とアドバイスしますと、
「出版できなかった原稿が無駄になるじゃないですか?」
と言う人がいます。

 そういう考えの人は、一生、出版できないでしょう。

 文章というのは、書けば書くほどうまくなるのです。

 逆に言うと、書かないとうまくならない。

 いつまでたっても初心者のままで、「出版」の最低基準をクリアする
筆力にも至らないかもしれません。
 
 ですから、書かない人は、永久に出版できない可能性があります。

 とりあえず書いて、100社に送って全てボツになっても
いいじゃないですか?

 何が問題だったのか?
 どこが悪かったのか?

 問題点。自分の短所が浮かび上がってきます。
 
 それを修正して、もう一度書き直す。
 
 これを繰り返していけば、相当に良い物ができるでしょう。

 スポーツでも、何の世界でもそうですが、「数稽古」というのは
大切です。

 文章も数稽古です。
 
 私の場合は、毎日3、4時間。
 1ヶ月で100時間以上。
 一年間で、1200時間以上は、文章を書いています。
 
 これだけ書けば、当然、文章はうまくなります。

 あなたは、毎日、何時間書いていますか?

 好きなことを書く。
 書いていけば文章はうまくなり、
あなたもいつか「出版」を勝ち取れるはずです。


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これまでの「ビジネス心理学プレミアム」の
バックナンバーをご覧になりたい方は、
こちらからご購入いただけます。
http://01.futako.info/a/backnumber.html 


今回の記事に関連して、
「第21号 樺沢流目標達成術 ~ 一見実現不可能な夢を現実化する方法」が、
お勧めです。

 参考のために、「第21号」の目次を紹介しておきます。

 この音声セミナーでは、樺沢が初めて出版を実現したときの体験をもとに
いかに自分の「一見実現不可能な夢」を現実化していったのか、
その方法を詳細に解説しています。

─────────────────────────────────
【音声セミナー】
  樺沢流目標達成術 ~ 一見実現不可能な夢を現実化する方法
─────────────────────────────────
    【 音声セミナー 目次 】
■1 目標(夢)の実現過程 5ステップ 
■2 道筋のリサーチ
■3 セグメント化・チャート化
■4 アプライする
■5 「自力」と「他力」
■6 アプライに失敗した場合
■7 宝くじは買わないと当たらない
■8 チャンスは準備された人にだけ微笑む
■9 シンデレラ症候群
■10 自己成就予言
■11 パブリック・コミットメント(公的約束)
■12 まとめ
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 発行者: 樺沢心理学研究所 樺沢紫苑(本名 佐々木信幸)
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