まぐMM
週刊恋愛小説 サンプル
ID:P0000912
 

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             [週ラヴ]  サンプル号 
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......僕がはじめて、女の子に恋したのは小学校の頃だったのですが(笑)
そんな幼い、淡い想い出はともかく....

ごく、ふつーのレンアイ、女のコをポイント・ゲットした(笑)、という想い出は
高校生のコロ、と、ちょっと遅いかんじのレンアイだった。

それは、こんな感じにはじまったのですが....


[想い出の中の彼女たち]


僕は、高校生の頃ずっとアルバイトをしていました。
父が病弱だったので高校の学費を自分で稼がなくてはならなかったからです。
最初はいやいや始めたアルバイト、でも、その内、バイト先で色々な人と
友達になれるのが、また楽しくなって...
学校へ行くよりも面白かったです。

もちろん、少年時代のことですから優しいお姉さんとかとの出会いがあったり
少年を男にするのですが(笑)。

そういう自然なふれあいが、後になってとても尊いものだったな。
などと振返ってみると、そう思います。


高校1年の夏、僕はスーパーマーケットでバイトしていました。
八百屋で野菜やら果物やらを運ぶ仕事で、みんな気のいい人たちでした。
体を使って働くというのは、やはり心の健康にも良いものなのですね。


スーパーにも色々な売り場があります。
お肉屋さん、
魚やサン、
薬やさん。

その中のひとつ、衣料品売り場の担当に、とても可愛い人がいて
僕は、なんだか意味もなく気になってしまいました。



バイトしながら、遠くからその人の事を見ていたり。
擦れ違いざま、恥ずかしくなって下を向いていたり。
でも、名札で苗字を見て、タイムカードで名前をみつけて喜んだり(笑)
少年らしいそんなひとときの事を思い出すと、なぜか微笑んでしまいますが...


[陽子さん]

その人は、陽子さん、という名でした。
タイムカードに、青いインクで楷書の綺麗な名前が書いてあって
僕は、その文字を見ただけでどこかどきどきしてしまうのでした。


その人は、素直な長い髪を真っ直ぐに伸ばしていて、
仕事の時は、後ろでひとつに束ねていました。
日本的な印象の顔だちで、どこか優しげに微笑むところが
魅力的に思えました。

仕事もしっかりとしていて、その意味でも尊敬のできる先輩でもありました。
ですから、何かの用事で呼ばれると、僕はとてもハッスルして仕事をしてしまったり(笑)
その人の役に立てるように、と、精一杯頑張ったりしました。

そんなこんなで、どうにかお話ができる程度のカンケイにはなりました。
相変わらず胸のうちはときめいていましたが、平静を装い、僕は精一杯大人振ります。
16歳の少年ですから、まあ、子供だったんですね。(笑)

ある時、八百屋の仕事がとても忙しくて、僕はひとり残って胡瓜の袋詰めをしていました。
次の日が特売なので、終わらせないと帰れないのです。
売り場の人たちは、明日、市場へ行かなくてはならないので帰ってしまいました。

夜のスーパー、閉店した後のバックヤードはとても寂しいものです。

もう、守衛のおじさんしか残っていないな、と思っていました。


が.....




[we are all alone]


細い靴音が聞こえ、青果売り場のドアが開きました。


どっきりとして、僕は身構えました。


「深町くん....?まだ、仕事?」



透き通る声で、陽子さんは尋ねます。
いつもの微笑み...のようですが、どこか憂いを帯びているようでした。
僕はちょっと気になりましたが、でも、陽子さんが僕を気にしてくれていたことが
嬉しくなって、もうそれだけで頭が一杯でした。



「沢口さん....」

僕は、やっと、それだけを答えて、じっと彼女のことを見ていました。


陽子さんは、僕の傍に歩いて来ました。
もう、スーパーの征服ではなく、さらりとした夏もののワンピースを着ていて、
仕事の時は纏めていた髪を下ろしているので、ふわり、と
素直な髪が肩で揺れました。



「手伝ってあげる!」


彼女は、にっこりと笑い、僕の傍にしゃがみました。
大人びているようですが、彼女は19歳、僕とそれほど変わらない年齢なのだ、
という事がその動きから感じられ、僕は親しみを感じます。


「あ、いいです、僕の仕事ですから」


僕は、彼女の手を胡瓜で汚してはいけない(笑)
などという妙な考えで、それを止め様としました。
ほっそりとして上品な、やわらかそうな指でビニールの袋詰めをするのは
いかにも可哀相に思えたのです。

でも....



「いいの、手伝わせるの。お姉さんに任せなさい。^.^」

ちょっとコミカルに彼女はそう言いました。

僕は、なんとなくその不思議なペースに巻き込まれてしまいました。


さらさらとした長い髪とか、若鮎のような脚が自分の傍にあることに
少年らしくときめきながら(笑)

いろいろな話をしました。


陽子さんが、海辺の町の人で、高校を出て直ぐに就職して
今はひとり暮らしな事。

僕が、学費のバイトをしている事に感激してくれたこと。

オートバイをバイトして僕が買った事....


「ねえ、帰りに乗せてってくれる?」


「...はい。」(^^)。



僕がアルバイトして買ったオートバイは、英国ふうの単気筒バイクです。


そのことは陽子さんは知っているらしく、シックなオートバイね、と言いました。


僕は、陽子さんが僕を見ていてくれた事がとても嬉しかったので、彼女に笑い掛けました。
陽子さんは、いつものように微笑みながら目を伏せました...



[nothin' 'bout  nothin']

ひとりでしていると、とてもユウウツな仕事も
とても楽しく、あっという間に終わりました。

僕らは仕事場の明かりを落として、スーパーの通用口から外へ出ました。
守衛のおじさんにふたり一緒なところを見られるのは恥ずかしいので
僕は先に出ていて、スーパーの裏に置いてあるSR400の所に居ると
陽子さんの靴音がすこし駆け足で近づいてくるのが解りました。

もう、この時の僕は靴音で彼女だ、と解るようになっていました。


静かにキックでエンジンを掛けます。
闇夜に、グリーンのインジケーター・ランプが眩しく見えます。
7月の夜は、4サイクル・ビッグシングルには少々辛い季節ですが
それでも、トライアンフ・マフラーをつけたSRは、750rpmでいつものように
アイドリングを続けます。


ピリオン・ステップを出すと、スカートの陽子さんはちょこん、と横座りして、
僕の胸に両手を回しました。

甘い髪の香りが、少年の僕を高揚させました。


ゆっくりとクラッチをつなぐと、陽子さんの暖かさが背中に伝わり、
夜の闇は一気にきらめく光の輝きに包まれたかのように感じられました....




陽子さんのアパートは、スーパーから少し離れた静かな住宅街の外れに
こじんまりと建っていました。
僕は、大通りでエンジンを切り、グライディングしてアパートの傍にSRを停めます。



名残惜しかったのですが、じゃあ、と僕は陽子さんに言うと、
ピリオン・ステップを降りた陽子さんは、ちょっと寄っていかない、と言います。


清楚な陽子さんの口からそんな言葉が出た事に僕は驚きましたが.....


その言葉に頷きました。

そして....




[same old story]




僕は、女の子の部屋に入った事など殆どなかったのですが
陽子さんの部屋は、女の子の部屋にしては質素な感じでした。
殺風景でしょう?と聞かれたので、そんなことはない、綺麗な部屋だ、
と僕は、努めて平静を装いながらそう答えたり...

部屋の陽子さんは、びっくりするほど幼く見え、その落差に
僕はまたどきどきとして....

いろいろな事を話しました。



実家のこと。
ひとり暮らしのこと。
仕事のこと、これからの希望...

ぽつり、ぽつりと陽子さんは語り、僕はほとんど聞いているだけ、という会話でしたが
それでも陽子さんは話します。

聞いているうちに、普段、しっかりとしている陽子さんが、内面にいくつもの悩みを
抱えていて、小さな肩でそれを支えきれないで拉げてしまいそうな、そんな風に思えて
僕は、たまらなく陽子さんが愛しく思えました.....


ごく平凡なストーリィです。
それからの事は、誰もとおなじ.....

僕は、自然に、ごく自然に恋しました。
素顔の陽子さんは、なぜかとても幼い女のコのように
かわいい声をあげ、僕はぎこちない自分をもどかしく思いながらも
せいいっぱいのキモチで、陽子さんを愛おしい、と思いました。
どうやって伝えたらいいのだろう、と考え、考え....

SPARK☆



そして.....




[What a fool believes]




そう、陽子さんは何か家に馴染めなかったらしいのです。
でも、僕もそれが何か、を聞くこともなかった。
聞いてはいけないような、そんな気がしたんですね。

なんとなく、自然なかたちでそばにいた、というか...
そんな感じの僕らでした。



さて...

そこのスーパーのバイトはそれから楽しかったです。
でも、相変わらずバイト先では他人のフリ(笑)。

その当時はそういうスタイルが普通だった、というだけですケド。


ここのスーパーは割と規模が大きくて、世界中に支店があるような会社です。
だから、転勤とかもあったりして....


陽子さんもあっさり転勤になる事、になりました。
僕は...というと。

幼なじみのトモちゃんというコと
僕らの田舎町にもある、ありふれた花火大会の夜に偶然再会して
それからなんとなく、トモちゃんのハナシを聞いてやってたり。

彼女はこの頃看護学校に行っていて、例の彼氏(中学の頃フラレタあの...

と、似たようなスポーツマンの男の子が好きになって...
そいつがバイク乗ってるから、バイクの免許取ろうかな、なんて話しにつきあってて...
徒労かな(笑)。




そうこうしてるうちに、あっさり陽子さんは遠くの町に引っ越していってしまいました(笑)
なんてマヌケな。

...と、思うのですが、実のところ陽子さんは職場の上司から猛アタックされていて、
それで、店長がこの人事で問題を解決した、という事らしくて
陽子さんもあっさり引っ越した、と....


はて、僕の存在は何だったの?(笑)



僕の役回りはいつもこんな感じでした。
まあ、それはそれで楽しくもあり...

だいたい、自分のために何かするより人のため、というタイプですから...


The Doo-bie brothers の "What a fool believes" を聞くと、この頃のこと、
暑苦しかった夏の夜のこと、なんかを思い浮かべたりもします。



陽子さんも誰かに頼りたかったのかな、とか思って。
頼りない自分の事を不甲斐なく思った少年の頃が
なつかしくもあり、愛らしくもあり(笑)


陽子さん、いま、どうしてるのでしょうね(^^)。




[new days]

さて..
それからの僕はというと、陽子さんの事を追いかける,,,,
なーんて、ドラマみたいな事はしませんでしたが(笑)
でも、オートバイで時々陽子さんの住んでいたアパートのそばを通ると
ちょっとだけ寂しさを感じたりなんかして。
それでも、これからの新しい一日への期待の方が大きくて(笑)


まあ、少年というのはそういうものかもしれないです。
少なくとも僕はそういうタイプでした。


ブラック&ゴールドのSR400に、こんどはダンストールのマフラーをつけて
開放的なビートを響かせると、夏、がとても楽しい季節であるように
そう思えてきました。

看護学校に行っていたトモちゃんと、時々お話をしたり。
それで、でも、なんとなくお友達という雰囲気のまま、
ずっと、そんな感じで...

それでも、駅前通りでトモちゃんが、例のスポーツマンタイプの背の高い男と歩いているとこを
オートバイに乗っていて、見つけたりすると
なんとなく嫌になって、フル加速して行ったり。

思えば、僕はどこか、このトモちゃんが気になっていたのかもしれません。

中学生の頃、このトモちゃんとはフォークソング同好会の活動で仲良くなって。
僕はこの頃からギタリスト志望でしたから、ギターの弾き方を教えてあげたりして。
んで、仲良くなって。
で、トモちゃんが好きな男ができた、と、僕に告げて。
僕はというと、なんとか仲を取り持とうとして。

でも、うまくいかなくて....

僕らは不思議なおともだちのまま、
ヴァレンタインにチョコもらったり、
ホワイト・ディに手作りクッキーあげたり(笑)

..と、曖昧な関係のまま、卒業を迎えたのでした。
卒業式も近い、ある日の下校時刻に

「一緒にかえろ」と
トモちゃんはとても可愛くそう僕に言いました。

でも、その彼女がなんだかとってもまぶしくて。
僕はひとりで帰ってしまったんですね。(笑)

まあ、今思うと少年だった僕は恥ずかしかったのだろうし、
その、心のときめきがコワカッタのでしょう(笑)。


次の日、トモちゃんは僕のポケットに何かをねじ込み、
それで走り去って行ってしまいました。

なにかな、と制服のポケットをみると、それはちいさなマスコットでした。
ギターにつける、手作りのマスコット。

この時のトモちゃんが、どんなキモチでこれを作ったのか、
さあ、それは今でも分かりません。



ずっと後、聞いてみたけど、「覚えてない」って笑っていたし....(^^)


そんな風に、僕の16歳は過ぎて行きました....



----つづく。


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○E-mail magazine 「週刊恋愛小説」     0号   end
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