まぐMM
FRI Magazine サンプル
ID:P0000975
 

                    平成18年4月8日
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            FRI Magazine No. 155号
FRI Magazineは、NPO法人FRI&Associates代表河合による、完全書き下ろし版、ソリュー
ションメルマガです。FRIマガジンは抽象論や一般論ではなく、実際の経営立て直しの
現場から私がテーマを選び、独自の視点で本質的な意味を解説し、読者にお届けいた
します。私の視点と解説をしっかりと身につけ、ご自身のビジネスに、キャリアアッ
プにご活用いただければ幸いです。
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仕事力 〜報告の技術 (サンプル) 

あなたは「上司が仕事の邪魔をする」と感じたことがないだろうか。お客さんとは上
手くいっているのに、上司がすぐにちょっかいを出してきて仕事がスムースに進まな
い。また、何かと難癖をつけてきてモチベーションが低くなる、くだらない報告会に
かり出され、時間的制約を受けるなど、上司が目の上のタンコブになっているという
ケースが多くなってきたら、あなたの「仕事力」はイエローシグナルだ。

あなたは、気づいていないかも知れないが、ビジネスマンというものは「アカウンタビ
リティー(説明責任)」というものがあり、報告は「義務」、つまり「仕事の一部であ
る」と考えなければならないのだ。また、上司には仕事に対して「結果責任」がある
のであるため、報告を受けていない上司は不安になり、あなたに必要以上の報告を求
めるようになる、不安だから注意も過ぎるし、(あなたにとって)不必要だと感じる報
告会も多くなってくるのだ。これが「報告」における負のサイクルである。

私は数多くの組織を見てきたが、「報告」が上手くいっていないために、上司との関
係にヒビが入り、仕事がスムースにいかないというケースを数多く見てきた。今日は、
「報告の技術」というテーマで、私から皆さんにアドバイスをしたい。

【報告は部下がトリガとなる】
あなたの仕事を振り返って欲しい。上司から「最近どうなっているのか報告して欲し
い」と、「上司から」呼ばれて報告が始まるか、あなたが「そろそろ報告しておいた
方がよいな」と感じて、「あなたが」上司を呼んで報告をするか、どちらだろうか。

あなたがペイペイの社員であれば課長に、課長であれば部長に、部長であれば担当役
員に、担当役員であれば社長に、と、組織で仕事をしていく限り、(社長以外は)かな
らず報告業務が発生する。先にも述べたように、「報告」というものは仕事の一部な
のだ。

私自身、この数年を振り返ってみても、上司から呼ばれて報告をさせられたというこ
とはほとんどない。逆に、私は、一日に何度もメールや電話を使って上司や関係者に
報告を行うので、周りからはうるさいと感じられているかも知れないぐらいだ。報告
というのは、これぐらいこまめにやらねばならない。最近ではメールも発達している
ので、メールを上司にBCCで落とすとか、転送するなどという形で報告を効率化させる
ことも可能である。

実際に仕事をしている人からみれば、「報告することは何もないというのは良いこと
だ」と思うかも知れないが、管理している立場からいえば「何も報告がないことほど
不安なことはない」のである。この認識の違いが、不必要なコミュニケーションを増
大させるのだ。例え仕事が上手くいっていても、「非常に上手くいっています」と、
上手くいっているなりの報告をしなければならない。

【報告には背景を一緒に】
悪い報告には、その「背景」をしっかり説明するが、良い報告には「背景」をまった
くつけない人が多い。例えば、「お客さんからクレームを貰いました。私は、クレー
ムが出ないようにがんばったのですが、お客さんがどうしても許してくれないと言っ
てます。私は私なりに一生懸命...」という具合である。しかし、これは聞く方からし
てみれば「いい訳がましい報告」にしか映らない。

逆に、「仕事は順調に行っています」と、上手くいっている背景、理由は説明しない
人は、聞く方からしてみれば「調子の良い奴だ。いい加減な報告しかしないで...」と
なる。正しい報告というのは、良いことであっても悪いことであっても、かならず、
良い理由、悪い理由というのを説明するということなのである。

例えば、「今日、お客さんからとても感謝されました。実は、最近、お客さんに言わ
れる前にお客さんの気持ちを先読みして、事前準備の時間を増やしました。それが効
いているのだと思います」などと言えばよい。聞く側からしてみれば、極めて具体的
で安心感があり、また、部下の成長さえ感じるだろう。さらに、良いことに対しても、
その理由はメカニズムが説明されていれば、「この部下は、この手法をつかって次も
良い結果をもたらしてくれるだろう」と感じるはずだ。

逆に、悪い話というのは、自分を自己擁護する説明は一切不要である。できる上司で
あれば、失敗はビジネスにつきものだと知っている。失敗しないビジネスマンなどこ
の世には存在しない。失敗のいい訳よりも、自分は失敗した理由を分かっているとい
うことを伝えるべきだ。失敗した理由が分かっていれば、次に同じことがあっても失
敗しないだろう、という安心感が湧くからだ。だから、自分は悪くない、自分のせい
ではない、などという説明に時間を割くべきではないのである。失敗を認めず、失敗
の原因も把握できない人間であれば、聞く側からしてみれば「こいつはまた同じ失敗
をするな」となるのだ。

だから、「今回クレームを受けました。私が、契約の時にもう一度確認しておけば良
かったのですが、そのまま渡してしまい、お互いに認識のズレがあったようです。次
からは必ず客に渡す前にもう一度確認します。」などと報告をすればよい。そこで怒
る上司がいたら、「力のない上司」、「早晩消えていなくなる上司」と思えばよい。
失敗を繰り返さないことに力を注ぐのがマネージャーである。失敗した人を糾弾する
人はマネージャーではない。

悪い報告に関しては、かならず「対応案」を加えることが大事である。起きてしまっ
たことは仕方ない。その原因をクドクド説明する暇があれば、「このように対応しよ
うと考えています」と、解決案に対するあなたの方向性も報告すべきである。

まとめよう。ポイントは3つである。

1.良い報告も悪い報告も定期的に、必ずあなたの方からキックして行うこと
2.良い報告であっても、必ず良い理由を述べること
3.悪い報告の場合は、自分が悪かったことを客観的に述べ、解決案も添えて報告する
こと

である。

【報告の仕方でその人の将来が分かる】
NPOなどで学生と接していると、「ああ、この人は社会人になったら苦労するだろうな」
と感じる人がいる。(全体の60%ぐらい)そういう人は、受け答えというか、とにかく発
言が「いい訳がましい」のだ。自分は悪くない、自分はミスしていないなど、自己擁
護に時間を取る人は、5分話をしてみればすぐわかる。

また、若い社会人の中でも、仕事で悩んでいる人の相談を受けると、「ああ、この人
は報告が下手だろうな」と感じる人も同様の傾向がある。彼らに共通しているのは、
「傷つくのが怖い」ということだろうと思う。しかし、先にも述べたように、仕事と
いうのは、「ミスをしない」ということはあり得ない。ミスはするものなのだ。大事
なことは、同じミスは繰り返さない、ということである。若いうちの仕事は、スキー
の練習と同じで、最初は出来るだけ転んだ方がよい。転べば体で覚える。だから、若
いうちの仕事というのは、できるだけ多くミスをすることであると言っても良い。

ミスをしたのに「自分はミスをしていません」というのは、「自分が転んだことが分
かっていない」ということなのだ。良いことは、再現性をもって繰り返し行うように
する、悪いことは、その原因を正しく把握して二度と同じことをしない、ということ
が、仕事を覚えていくというころである。だから、良いことも悪いことも、その背後
にある「メカニズム」をとらえることが大事なのである。報告というのは、結果と背
景をセットにするというのが本日のポイントである。

【報告の技術】
最後に、報告の手法、技術について述べたい。報告というのは、かならず結論から述
べ、完結に伝えると言うことが大事である。よく、同じようなことをクドクド繰り返
す人、結論をなかなか言わず、「時間軸に沿ってしゃべる人」がいる。

私は本業で「経営者」と呼ばれる人とよく話をするが、「経営者」と呼ばれる人ほど
せっかちで、時間がない人が多い。そういう人に、クドクド時間軸で説明をしている
と、「さっさと結論を言え」と怒られてしまう。そういう人には、

「今回の仕事でクレームを貰いました。お客さんは2000万の賠償請求をしています(ま
ず、何があってどのぐらいの金額かを先に述べる)このクレームは、私が契約書を渡す
ときにチェックしなかったことが原因です。次からはかならずチェックするようにし
ます(次に、ミスが起きた原因を客観的につたえる)。今回、ご足労ですが部長に出て
いただき、先方の山田常務に事情を説明していただければ、なんとか示談にしてくれ
るのではないかと思います。申し訳ありませんが、よろしくお願いします(自分なりの
解決案を出す)」

という流れで説明する。これに対して、悪い報告というのは、

「先週金曜日に商品を出荷したのですが、その時、先方が思っていた納品場所とずれ
ており、トラックを手配したり、赤帽をつかったり....(くどい説明が延々と続く)そ
れで、とうとう客が怒って、おまえの所は取引をしないと言い出して (時間軸に沿っ
て説明する)最後には2000万円の請求をしてきて...」

おそらく、ここまで報告したら、上司は大声を出してあなたを怒鳴りつけているだろ
う。話はこれ以上前に進まない。あなたは、それ以降、上司の執拗な質問攻撃に対し
て、自己擁護を始め、最後は「出て行け能なしめ!」とののしられて終わるのだ。

このような報告は「笑い事」ではない。私が知る限り、80%以上の人が後者のパターン
で失敗している。最近若手ビジネスマンの方から、仕事がうまくいかないという相談
を受けるのだが、実は、仕事が上手くいかない、のではなく、報告が上手くいってい
ないため、上司とのコミュニケーションが悪化しているというのが原因である、とい
うことが多いのだ。

繰り返して言おう。若いうちは仕事は上手くいかないのが当たり前、また、ミスをす
るのも当たり前である。しかし、成長するビジネスマンと窓際に追いやられるビジネ
スマンはハッキリと二つに分かれていく。全社は、上手くいく理由、失敗した理由を
極めて客観的にとらえ、かつ、効果的に上司に「報告」している。逆に、後者は、上
手くいったときは何も考えず、失敗したときは自己擁護をし、自分からは「報告」を
しないタイプである。

あなたはどちらのタイプだろうか?

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  【著者】
河合 拓
NPO法人 FRI&Associatesの代表理事、IT企業を始め、大手製造業、新聞社、商社、流
通など再生案件を手がけた企業は数多く、独自の視点と助言で確実に成果をもたらす
ことができる数少ないコンサルタントの一人。全社戦略立案支援、事業戦略、ビジネ
スモデル、営業戦略、間接部門効率化、製造コスト削減など守備範囲は広く、実績多
数。政策学校一新塾第14期、第16期講師も勤める。
 
著者へのメール:kawait@fri-associates.com
著者のBlog: http://blogs.yahoo.co.jp/kawait_2000
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