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 プロジェクトマネージャー養成マガジン・プロフェッショナル サンプル |
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ID:P0000985 |
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■□□□□■ プロジェクトマネージャー養成マガジン・プロフェッショナル
■□■■□■ ★プロジェクト1:リアルタイムOSの開発★
■□■■□■ アクティビティ1:アステック誕生
■□□□□■ エム・アンド・ティ・コンサルティング 好川哲人
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◆株式会社アステック誕生!
株式会社アステックは2000年に設立されたいわゆる「IT企業」である。創業
者は相楽健介(45歳)、木村慎一(36歳)であり、彼らは、初芝電気で上司と部
下の関係で産業用のリアルタイムOSの開発と応用事業に従事してきた。主な応用先
は、産業用機械、発電プラント、工場のライン、交通制御システム、宇宙用機器、極
限作業ロボットといったいわゆる「重厚長大」製品の制御装置だった。
初芝電気では、90年代最初に米国のベンダー企業であるリアルソフト社の持つ技
術に注目し、まだ、海のものとも山のものともつかなかったこれらの製品のソフトウ
エアプラットホームになるリアルタイムOSであるRTを90年代前半より、米国の
ベンダー企業であるリアルソフト社と提携し、共同開発し、また、国内展開では日本
市場で大きなシェアを獲得するにいたっている。
この一連の活動の中で中心的な役割を果たしてきたのが相楽であり、日本市場への
ローカライゼーションにとどまらず、91年から95年までは、リアルソフト社の役
員として、RTの進化に重要な役割を果たしてきた。
RTは産業財としての性格が強く、コンシューマ向けのOSやメインフレームOS
のように目立つことはないが、応用分野も着実に増えてきている。
相楽は予ねてより、家電、自動車など、コンシューマー向け商品の組み込みソフト
ウエアのプラットホームの貧弱さに着目し、これから、本格的なIT時代を迎えるに
あったっては、現在のホーム機能では不十分で、ここが大きなポイントになるとにら
んでいた。
そこで、相楽は、40歳になったのを機に、社内のベンチャー支援制度を活用し、
ベンチャー企業の立ち上げを決心した。2000年2月のことだった。高く評価して
いる部下である木村を誘い、コンシューマ向け商品のプラットホーム提供事業を計画
し、2000年4月には支援申請をした。申請をした時点では、もう、ほとんど関係
者の承諾も取り付けており、申請内容は以下のようなものだった。
◆事業内容
相楽と木村は、立ち上げ当初5年のメインの事業として、2つの事業を想定した。
一つは、プラットホーム(OS)の開発事業であり、もう一つはシステムインテグレ
ーション事業であった。
1.コンシューマ商品向けプラットホームの開発
これが基本事業になる。リアルソフト社は現在、RT−XPというリアルタイムO
Sを持っている。アステック社では、リアルソフト社の提携により、RT−XPをさ
まざまな汎用マイクロプロセッサ上に展開していくビジネスを行う。
この事業では、相楽のリアルソフト社の社長であるビル・ジョブスとの長年にわた
る信頼関係が生命線である。実際にアステック社の計画に当たり、数回にわたり、ジ
ョブスとのミーティングを行い、アステック社が日本のリアルソフト社となるべく、
全面的な協力をするという約束をとりつけている。この約束こそが、初芝電気に支援
を決定させた切り札となったのだ。
2.プラットホーム上でのアプリケーション受託開発事業
もう一つの事業の柱として考えているのが、RT−XP上でのアプリケーション開
発である。アプリケーション開発といっても純粋なコンピュータアプリケーションで
はなく、どちらかというと組み込みソフトウエアの色彩が濃い。
初芝電気の社内ベンチャーでありながら、初芝エレクトロニクスが実務面での支援
主体になっているのは、初芝エレクトロニクスが、RT−XPのアプリケーション開
発事業を行っているためである。もちろん、将来的にはアステックと初芝エレクトロ
ニクスの業務提携という線もあるだろう。
◆出資
アステックの設立に当たり、相楽が4000万円、木村が1000万円を出資した。
また、社内ベンチャー制度の趣旨から、初芝電気のグループ企業である初芝エレクト
ロニクスが1億円を出資。さらに、初芝電気のメインバンクであるUSJ銀行が
5000万円を出資。都合、2億円の資本金で創業することになった。
相楽 4000万円
木村 1000万円
初芝エレクトロニクス 1億円
USJ銀行 5000万円
USJ銀行がこのような案件に出資することは珍しいケースであり、初芝電気との
関係を差し引いても、このプロジェクトへの期待が伺える。実は、その背景には、こ
の事業が成功した暁には、RT−XPにより競争力を強化できる多くの企業を抱えて
いることがあったのだ。東京電子工業をはじめとする家電メーカ、日進自動車やホン
ダ電子工業など多くの企業が、RT−XPによって競合との厳しい戦いに勝利するこ
とが期待できる。その期待が、USJ銀行を動かしたといってよい。
■役員
役員は相楽が代表取締役、木村は主にプラットホーム事業を担当する。初芝エレク
トロニクスからは杉浦進、岡村憲次、野口健一の3人が役員として出向し、杉浦が専
務で、財務を担当し、同じく岡村がアプリケーション開発事業、野口が営業を担当す
ることになった。
杉浦は相楽と初芝電気の同期入社であり、現在は、初芝エレクトロニクスに転籍し
ており、営業担当役員を務めている。入社直後は初芝電気とリアルソフト社の提携に
おいて、営業的な立場から重要な役割を果たしており、ジョブスが現在の日本市場が
あるのは杉浦のおかげだと思っているというのがもっぱらのうわさであり、きわめて
強い信頼関係も持っている。
岡村は、初芝でRT−XP上のアプリケーション開発事業部の次長である。来年度
にも事業部長に昇格し、役員になると目されていたが、なんと、自分から志願して今
回のプロジェクトに参画してきたのだ。本人曰く、まだ、老け込む歳ではないとのこ
とで、エンジニアとして新たな環境でもう一花咲かせたいと思っているらしい。
このような人材が役員に就任し、以下のような布陣になった。
代表取締役 相楽健介
専務取締役 杉浦進(初芝エレクトロニクス、営業担当)
常務取締役 菅沼隆(USJ銀行、財務担当)
常務取締役 木村慎一(プラットホーム担当)
取締役 岡村憲次(初芝エレクトロニクス、アプリケーション開発担当)
取締役 野口健一(初芝エレクトロニクス、技術担当)
監査 岡田馨(初芝電気)
■売り上げ計画(千円)
アステックの設立に当たっては、事業ごとに以下のような事業計画を策定した。
1.コンシューマ商品向けプラットホーム開発
年度 売り上げ 利益
2001年 0 ▲100,000
2002年 200,000 ▲ 30,000
2003年 1,000,000 60,000
2004年 3,500,000 100,000
2005年 5,000,000 1,500,000
2.アプリケーション開発
年度 売り上げ 利益
2001年 0 0
2002年 10,000 ▲4,000
2003年 100,000 20,000
2004年 300,000 60,000
2005年 1,000,000 200,000
◆評価と船出
この計画に対して、初芝電気の反応は良好だった。
大きな課題として、標準化に対してどのような取り組みをしていくかという課題が
あった。たとえば、車のナビゲーションシステム一つとってみても、ハードウエアの
レベルからの作りこみをしており、OSを導入し、OS上にナビゲーションソフトを
構築するという展開は想像しにくい。
この標準化の問題は利益に対して重要な影響がある。カーナビを例にとれば国内メ
ーカだけで12社あり、標準化がされない場合、12の専用プロセッサ用にRTーX
Pを準備しなくてはならないからだ。
しかし、それ以外の部分では、しっかりとした計画が評価された。2000年10
月には、新会社発足の運びとなった。この時点で社員の採用も順調に進み、
プロジェクトマネジメントクラス 2名(うち、1名は初芝)
システム設計クラス 3名
(うち、1名がリアルタイムからの転籍、1名が初芝からの出向)
インプリメント 7名
RT−XP開発エンジニア 3名(リアルタイムからの応援)
営業 3名
総務 2名
を確保することができた。これに、相楽、杉浦、菅沼、木村、岡村、野口の6名を加
えた23名が初期のメンバーであった。このような立ち上げができた背景には初芝の
社内ベンチャーとしての立ち上げであったことが大きかったといえる。
◆RT−XPの開発
アステック社では、初年度は、すべてのエンジニアリングリソースをRT−XPの
ポーティングに投入することに決めた。
2000年の間に営業の杉浦が動き、2つのターゲットを決めた。
カーエレクトロニクスではホンダ電子工業の汎用プロセッサに移植することを決め
た。ホンダ電子工業は自動車電装装置、ナビゲーションシステムを中心に30%程度
のシェアを持ち、日本では日本電子とトップシェアを分け合っている。
家電の中では家事ロボットに着目し、東京電子工業のロボット用プロセッサを選択
した。東京電子は初芝と深い関係にあるために真っ先に話が決まったが、ロボット用
のプロセッサではトップシェアを持つメーカの一つである。
これら2つを選択し、2001年12月までに開発完了することが初年度のミッシ
ョンとなった。この2つのプロジェクトはそれぞれ、新たに採用した社員の神原弘と
横田信弘がリーダーとして主担当することになり、それを木村がプロジェクト(プロ
グラム)マネージャーとして全体をマネジメントしていくという体制が決まった。
(以下、次号に続く)
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