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誰でもわかる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み サンプル
ID:P0001517
 

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■■   ◆誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み◆ 
■■        (まぐまぐマガジンID:P0001517)
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米11月CPI、原油高で2年ぶり大幅上昇=米利下げ観測にブレーキ

−コアCPIも前年比2.3%上昇=7カ月ぶり高水準−

【2007年12月16日(日)】 − 先週末(14日)発表された11月の米消費者物価指
数(CPI)は前月比(季節調整後)0.8%上昇と2年ぶりの大幅上昇となり、市場予
想の同0.6%上昇を大幅に上回った。急伸の主因は、最近の原油高騰によるエネル
ギー価格の急伸(前月比5.7%上昇)で、これだけでCPI全体の上昇要因の約70%
を占めた。

 特にガソリン価格が大幅上昇(前月比9.3%上昇)し、それ以外でも、衣料品や
医薬品、家賃、航空運賃など広範囲にわたって物価の急上昇が見られ、この結
果、FRB(米連邦準備制度理事会)と市場が最も重視しているコアCPI(価格変動
が激しいエネルギーと食品を除いたもの)も前月比0.3%上昇と1月以来10カ月ぶ
りの大幅上昇となり、市場予想の同0.2%上昇も上回った。

 このCPI発表に先立って、13日に発表された11月の米生産者物価指数(PPI)
は、最近の原油高騰によるエネルギー価格の大幅上昇(前月比14.1%上昇)によ
り、前月比3.2%上昇と1973年8月以来34年3カ月ぶりの大幅上昇となっており、市
場では、この日のCPI急伸は予想されたとはいえ、PPIで示された強いインフレ懸
念が再確認されたと市場では受けとめている。

 PPIもそうだが、今回のCPIの結果についても、エコノミストは、とうとう心配
していた原油高騰が他の物価の上昇へと価格転嫁が進んできたと見ており、今後
数カ月は物価上昇が一段と悪化するとして警戒している。また、その意味では、
FRBが11日の利下げ幅を0.5%ポイントではなく、0.25%ポイントの小幅に抑えた
ことは、FRBはクレジット市場の危機や景気の先行きに対し、楽観的過ぎるとして
批判を浴びたものの、結局、正解だったと評価する見方も出てきている。

11月CPI、前年比4.3%上昇と市場予想上回る=1年10カ月ぶりの大幅上昇

 また、前年比(季節調整前)でも、11月のCPI全体を示す総合指数は4.3%上昇
と市場予想の4.2%上昇を上回り、2006年1月以来1年10カ月ぶりの大幅上昇となっ
た。これは、原油価格が一時、1バレルあたり100ドル近く(11月21日に過去最高
の99.29ドル)まで高騰し、最近はピークを過ぎてやや下降しているものの、依
然、高水準(11月平均は94.63ドル)が続いており、その影響で、エネルギー価格
(前年比21%上昇)、特に、ガソリン価格が前年比37.1%上昇と2005年9月以来2
年2カ月ぶりの大幅上昇となったのが主因だ。全国平均の普通ガソリンは1ガロン
あたり3ドルを超えている。

 ちなみに、原油高騰が起きる前の8月のCPIは前年比2%上昇だったので、11月
は、その2倍以上になる。過去には、2005年9月に14年ぶりの大幅上昇となった
4.7%上昇という記録があるが、最近は3.5%上昇(10月)まで減速していたが、
それも再び上昇が加速していることを示している。

英国やユーロ圏でもインフレリスク上昇中

 また、コアCPI指数(値動きが激しいエネルギーや食品を除く)も前年比2.3%
上昇と市場予想と一致したものの、4月以来7カ月ぶりの高水準となり、2006年9月
に同2.9%上昇の過去最高を記録した以降は、ここ数カ月、2.1-2.2%上昇(10月
は2.2%上昇)まで減速していたが、11月になって、再び加速していることが明ら
かになった。

 こうしたインフレ加速懸念は、米国だけでなく、欧州でも広がっており、英国
では、イングランド銀行(中央銀行)と英世論調査会社Gfk・NOPが13日発表し
た、英国の11月の消費者インフレ期待調査結果によると、英国民は、今後1年間の
インフレ率は3.0%になると予想しており、前回調査時(8月)の2.7%から上昇し
ていることが明らかになった。これは英中銀のインフレ目標である2%を大幅に上
回るもので、英中銀は先々週、景気リスクから、0.25%ポイントの利下げを決定
したが、今後は金融政策担当者にとって、インフレリスクは大きな懸念材料にな
ると見られる。

 また、ユーロ圏でも、14日に発表されたユーロ圏の11月のEU基準消費者物価指
数(HICP、消費者物価指数から医療費や持ち家コストなどを除いたEU圏の統一イ
ンフレ指標)の確報値が、前年比3.1%上昇と、2001年5月以来6年半ぶりの高い伸
びとなり、10月の同2.6%上昇やこれまで最も低かった8月の同1.7%上昇を上回っ
ている。

 最近のインフレ率が、欧州中央銀行(ECB)のインフレ目標である同2%上昇を
大幅に上回っていることや、ECBがこれまでも、唯一の関心事はインフレ率と指摘
しているので、ユーロ圏の政策金利が早期に引き下げられることはない見通し
だ。ECBの金融政策決定会合のメンバーでもあるルクセンブルグ中央銀行のイブ・
メルシュ総裁は14日の記者会見で、ユーロ圏のインフレの先行き見通しについ
て、「来年いっぱいまで高水準が続く」とし、ECBは物価上昇リスクに対抗する用
意があり、「必要があれば、適時適切に対応する」と利下げより、利上げの可能
性を改めて強調している。

FRB、利下げは急がず=コアCPIの上昇加速で

 また、米国にとっても、今回のコアCPIの前年比2.3%上昇が、FRBが望ましいと
しているインフレ上昇率のレンジ(+1〜2%)を大幅に上回っただけに、市場で
は、FRBは、景気リスクより重いインフレリスクに直面することになったと見てい
る。一部のエコノミストは、FRBのFOMC(公開市場委員会)メンバーの中で、クレ
ジット市場収縮(金融逼迫)よりもインフレリスクを重視するタカ派を勢いづか
せると見ている。また、エコノミストは、今後のFRBの金融政策もクレジット市場
の混乱による景気のリセッション(景気失速)リスクを和らげるための利下げは
依然、断念しないものの、より慎重にならざるを得ないと見ている。

外為市場、ドルに追い風=米利下げ観測後退で

 この日のNY外為市場では、FRBの追加利下げ観測の後退でドルが上昇し、ユーロ
に対しては前日NY終値1.4633ドルから1.4424ドルへ1.4%も上昇、一方、円に対し
ても同112.21円から113.43円に1.1%も急伸。市場ではFRBは今後積極的に利下げ
をしにくくなることは、ドルにとって上昇バイアスを意味すると受け止めてい
る。

 他方、NY株式市場では、インフレ加速で利下げの可能性が後退したことで、米
経済への懸念が強まり、ダウ工業株30種平均は前日比178.1ドル(1.3%)安の1万
3339.8ドルに急落している。ハーバード大学の著名な経済学者、マーチン・フェ
ルドスタイン氏は、米経済が2001年以来のリセッションになる確率は五分五分だ
とし、そのリスクは明らかに高まっていると指摘している。

 ただ、エコノミストの一部には、原油価格も一時の1バレルあたり100ドル近辺
のピークから徐々に下降し始めていることから、インフレ加速リスクも低下して
いること、また、今回のコアインフレ率の上昇加速で、労働省が14日に発表した
11月の実質賃金(速報値)の物価調整後の伸び率が前月比0.4%低下となり、10月
の同0.3%低下に続き、2カ月連続で低下したことを考えると、FRBは、個人消費の
低迷にも気配りをしなければならなくなるという向きもある。ちなみに、原油価
格は14日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、標準油種である
WTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)来年1月物が、11月のCPI急伸を
受けて、米経済が減速し、原油需要が低下するとの思惑で、1バレルあたり前日比
98セント安の91.27ドルに急落している。

航空運賃、燃料費高騰で前月比2.6%上昇=エネルギー以外でも急伸

 内訳を見ると、エネルギー以外の他の物価では、航空運賃が燃料費の高騰で前
月比2.6%上昇と急伸したことから、輸送関連物価も同2.9%上昇(前年比9.6%上
昇)となった。衣料品はドル安による物価上昇も寄与して、同0.8%上昇と1999年
8月以来、8年3カ月ぶりの大幅上昇。医薬品は同0.8%上昇で10カ月ぶりの大幅上
昇。また、CPIの23%(コアCPIの30%)を占める帰属家賃(OER、持ち家でも借家
と同様に住宅サービスを受けているとして、市中の家賃で評価したもので、持家
に住んでいる人は、自ら不動産業を営み、自ら家賃を支払っていると仮定)が、
同0.3%上昇(前年比2.8%上昇)

金利先物市場、FRBによる利下げ回数の減少を予想

 FF(フェデラル・ファンド)金利先物で見た利下げ確率は、インフレ懸念の上
昇を受けて低下し、今後、FRBによる利下げの回数は減少すると見られている。14
日のCBT(シカゴ商品取引所)で、FF金利先物の来年2月物は、来年1月29-30日の
FOMC(公開市場委員会)で、政策金利が現行の4.25%から4%に引き下げられる確
率を前日までの100%から一転して80%に急低下、来年4月物も、来年3月18日の
FOMCで4%に引き下げられる確率は依然、100%織り込んでいるものの、さらに
3.75%に利下げする確率は前日の46%から28%へと2日連続で大幅に低下してい
る。

 また、同日の米CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)で、2008年の各四半期に
期日が到来するユーロドル金利先物のうち、来年12月物は来年第4四半期(10-12
月)に3.75%に利下げする確率を100%織り込んでいるが、さらに3.5%に利下げ
する確率は前日までの100%から56%に急低下している。(了)

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発 行 元:「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者: 編集主筆 増谷栄一
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