まぐMM
週間おでん 「LOVEイン・ザ・モーテル」 サンプル
ID:P0005174
 

<毎週・日曜日発行>第55号<2007年11月18日>サンプル版
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 週刊おでん ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
ネットにリアルに点在する様々な人間模様、めくるめくストーリー
                            作/編集:森 綾香
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
第六弾/「LOVEイン・ザ・モーテル」1話


人々のせわしく行き交う駅の構内、
改札口間際の広いフロアど真ん中に
しゃがんでいる一人の少女。

そう、目の前にしゃがんでいる、
セミロングのちょっと小可愛い少女、
声を掛けるのにおあつらえむき。

半袖と長袖の入り混じる六月。
その少女はさわやかにブルーの長袖シャツをはおり、
ミニスカ姿で苦しそうにうめいていた。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
                  第六弾/「LOVEイン・ザ・モーテル」
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

いや、いくら僕が出会いに飢えていたとしても、
サークルや講義仲間に彼女とのいちゃいちゃを
散々のろけられ、一人身でいることに
すこぶる焦っていたとしても、
決してそんなよこしまな下心からじゃない。

僕はその日いたってただの
親切心からその少女に声をかけたのだ。

「あの…気分でも悪いんですか?
さっきからずっとしゃがみ込んでいるみたいだけど、
誰か呼んで来ましょうか?」

「近寄らないでっ!」

彼女の有無を言わせぬ迫力と言葉。
僕の親切心をかのごときムゲな言葉で切り捨てるなんざ、
カルチャーショッキングだ!
あげくこの女ときたら僕を突き飛ばしやがった。

床に派手にしりもちをつきつつ、
僕はわが耳を疑う。

ここは『いえ、大丈夫ですから、お気になさらないで』
『まぁ、そんなことを言わず、病院でも行きましょう。付き添いますよ』
『ご親切にどうも、本当にすみません。ご迷惑おかけします』
『いえ、なに当然のことをしたまでです』
(なんて親切な男性…ポ!)じゃないのか?

なんて僕が一人ぶちぶち心の中でぼやいていると、
目の前の少女がふいにおかしげな動きをする。
なぜだか瞬間僕はイヤな予感がした。

が予感的中――
か細い「…余計に酷くなるから…」の声と同時に
この女、いきなり僕の目の前で目一杯ゲロを吐き始める。
途端に辺りに充満するすっぱい臭い。

目先鼻先で展開されるえもいわれぬ状況に
僕もつられてゲロを吐きそうになるも、それをすんでで飲み下す。
わずかばかりの胃酸でやられたのか
喉の奥がジンと熱くなる。

しかし、彼女が二度目の嘔吐を始めたのを見た途端、
僕はたまらず二度目の内容物のこみ上げを感じ、
口元をがっちり右手で押さえると、
集まりかけていた人垣をあまった方の腕で押しのけ、
また突き飛ばし最寄のトイレに猛烈な勢いで駆け込んだ。

そうして、個室のトイレに入り安堵したのか、
僕はめいっぱい吐いた。吐きも吐いた。
胃の中がみるみる軽くなる。それはそれは愉快なほど。
と同時に、すっぱい胃酸の強烈な風味と
今日のお昼のカツサンドの味がほのかにした。

僕は便器に吐き出されたグロテスクな
汚物を忌々しげに見下ろす。

(なんて最悪なコラボだ。さっき食べたカツサンドは
あんなにうまかったのに、今日のお昼が台無しだ)

僕は手の甲で口元をぬぐいながら、
そんなどうでもいいことを考えていた。

公共トイレの手洗いの水というのが、
どうにも気になってしようがなかったが、
他に水らしい水がなかったので、
僕はやむなく蛇口をひねり、両手で水をすくいあげ
口をすすぐ。場所柄、いつもよりも随分と
水がまずいような気がした。いや
それは単なる気のせいなのかもしれないけれど。

そうしてすっかり数回のうがいを終え、
だけど、ふと自販の緑茶でも買って、うがいをすればよかったと
今更になってひらめき、思わずタイルの壁をけり上げる。

そうこうしていると、ふと、左の袖口に彼女のゲロらしきものが
こびりついているのに気付いてしまい(臭いがカツサンドでなかった)
ますますもって、うんざりきた。

そのまま、手洗い口でごしごし洗う。
そうして、ぬれた袖口に鼻先を近づけ、くんくんにおってみる。
まだすっぱい感じがする。

自分のゲロならまだしも、他人のゲロなんて、ごカンベン!
最悪だ。親切心がすっかりアダとなってしまった。
情けは人のためならずなんて一体誰が言ったのでしょう?

僕が袖口を諦めて、公衆トイレから出てくると、
先ほどのフロアに水の入ったバケツやらチリトリやら雑巾をかかえた
掃除婦のオバちゃんが三人も集まり、床磨きを始めている。

例の少女は一人立ちんぼし、
ただただ泣きそうな顔でうつむいていた。

(まぁ、ワザとではないのね)
僕はそこで彼女に声をかけてもよかったのだけれど、
袖口が気になるし、なにより気分は最悪で、
とてもとてもそこまで気はまわせず、
大学の午後の講義は丸々すっぽかすことにして、
もうそのまま家に帰ることにした。

これが彼女と僕との出会いです。


(次号に続く)
※この物語はフィクションです

■ネットなんぱマニュアル200
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/netn.htm

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
▲▼▲▼▲▼ 今週の「あんたって詩人なの?」 ▲▼▲▼▲▼
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
※毎週、自作のポエムサイトから一押しの作品をピックアップします。
(未公開ケースも含む)http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/goro/
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

カメは
カメなのだから

砂浜にたたずむカメを
取り囲んで
「やーい、どんガメ」と
からかうのはやめてください

カメは
カメなのだから

後ろから棒で追いたて
「お前はなんでそうのろまなんだ」と
なじるのはやめてください

カメはカメであり
カメ以外に他ならないのですから

カメはカメ
カメはカメ

どこまで行っても
カメはカメ

そんなカメも
海に入れば
それなりの速さで泳げますから
海中を上に下に飛び回るように
泳げますから

息だって随分と続きますし
酸素ボンベも必要ないですし

それにそれに
そんなカメでも
甲羅はとってもとっても
硬いですから

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

運命は
フイに舞い降りるわけじゃない

運命は
神が気まぐれで与える
プレゼントではない

運命とは
互いが互いを思いやり
ただひたすら見返りなく
誠意的に動いたとき

だけど現実はいじわるで
ドラマのよう逐一すべてを
注釈してくれぬ
都合よき場面に観客など一人もおらぬ
いや、現実は時に都合悪き場面に
いじわるな観客を幾人も招き入れる

だけど
それでもめげずくじけず
ただひたすら誠意をもって動くなら
動くバカ者がいたとしたら

フイに偶然が起きる
いやそれは必然か

積み重なる誠意と愛と誠実
最後のしあげに
時間差で紐解ける数多くのなぞ

たちまち全てが繋がり
リンクし過去を形作る
光が描きだすそびえる塔の残骸
光のミラージュ
またたき

その全てを省みたとき
その全てにかたくななまでの筋が通り
そこに誠実を見たなら
人は強烈なる運命を感じるのだ
奇跡を覚えるのだ

神がもしも
いたとしたなら

神がしでかす
奇跡があるとしたら

ほんの最後の紐解き

真実をすっぽりと覆う
ラッピングのリボンをフイに引く
ただそれだけなのだ

(title.「運命の築き方」)


※自作の詩を投稿したいなら、オンラインのゲーテへ!
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/goethe.htm

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
▲▼▲▼▲▼▲▼ 来て見てな、関連サイト ▲▼▲▼▲▼▲▼
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
その他、多数の娯楽サイトも取り揃えておりますので。
お好みに合わせて、お楽しみあれ!
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

■ネカマ丸見えモンタージュ!
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/nekamal.htm

■「Mr.トースト」のおいしい朝ごはん
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/toast.htm

■「おにぎり奉行」のおにぎり目録
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/onigiri.htm

■懸賞当てまくり隊
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/present/

■中国茶で手軽にチャイナ気分!
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/chinese-tea/

などなど

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼  過去の連載  ▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

第一弾:イマドキの援交事情(全7話)
第二弾:オンライン王子(全12話)
第三弾:ネカマでビンゴ!(全5話)
第四弾:ドリームズ・デイズ(全17話)
第五弾:LOVEメール(全14話)

↓内容詳細はこちら
http://www.tako.ne.jp/~a3-mori/magu/

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
※当メルマガは、まぐまぐプレミアムより発行されています。

ご意見・ご感想はこちら(****@******.**)
登録・解除は、こちら(http://premium.mag2.com/)

(c)森 綾香
		


閉じる

このページはまぐまぐプレミアムによる運営です
まぐまぐプレミアム