| ■■庭園に響く琴の音色 水琴窟(すいきんくつ)
「水琴窟(すいきんくつ)」とは、「琴の音色」に聞こえることから「水琴窟」と名づけられた日本庭園などに設置される装飾の一つです。
「水琴窟」の歴史ははっきりわかっておらず、発明した人物さえわからないものではありますが、時代を遡ると少しだけその歴史が垣間見えます。
元々は「洞水門(とうすいもん)」と呼ばれていたものだそうで、庭園に設置する装飾の一つではなく、手洗い場などの排水設備だったのではと言われています。それが何時のころからか、その排水設備から良い音色が聞こえてくるということで、庭師によって改良されていき、庭園の装飾に使われるようになったのではと言うものです。
ただ、一説によると、「小堀遠州(こぼりえんしゅ/小堀 政一 こぼり まさかず、天正7年(1579年)〜正保4年(1647年)江戸時代初期の武将。近江小室藩藩主。茶人、建築家、作庭家としても有名)」が発明したものではないかとも言われており、はっきりししたことは解らないと言います。
では、「水琴窟」とは、どのような構造になっているのか観ていきましょう。
基本構造はとても簡単なもので、底に小さな穴を開けた「瓶(かめ)」を用意します。次に地中にその「瓶」がすっぽり入るほどの程度な深さの穴を掘り、底に粘土質のようなもの、それから小石などを敷き詰めます。次に「瓶」をさかさま(瓶の底を上)にして穴の中へと沈め、最後にその「瓶」の周りを小石や砂などで覆いかぶせます。
地中の構造はこれだけですが、これだけでは音は出ません。音を出すためには、その上から適量の水を滴り落ちるように工夫が必要になってきます。これは色々な場所にある「水琴窟」によってさまざまですが、一つはひしゃくなどで手水撥などに溜まっている水を救い上から落とす、一つは、山水などを上部から引き、一旦手水撥などに溜め、そこから少ずつ溢れてくる水滴を上から落ちるように設置する、などです。
すると、少し金属音に似通った澄み切った綺麗な音色
「キーン、コーン、キンキン・・・」
といったような音色が聞こえてきます。
庭園の音が出る装飾品としてもう一つ思い出すのが、「ししおどし」と言うものがありますが、これは非常に高い音で「コーン!」と庭園に響き渡ります。しかし、この「水琴窟」は、基本的に近くへより、耳を澄まさなければ音色は聞こえません。非常に上品な音になります。
面白い物では、「正法寺(近日ご紹介)」や「円光寺」「宝泉院」などに設置してある「水琴窟」は、竹のふしをくり貫き筒状にしたものを地中に埋まった「瓶」のそばまで入れ込み、反対側に耳を当てると音色が聞こえるという大変風流なものがあります。ちなみにその他のものは、近くに近づくと静かに地中から音色が聞こえるようになっています。
歴史に話を戻しますと、江戸初期には結構それなりに親しまれていたということなんですが、江戸後期には忘れ去られてしまいます。ですが、一旦明治に入り復興して親しまれるようになりますが、戦争などの影響もあり、昭和には再び忘れ去られた存在になっていたと言います。
なんでも1959年の東京農業大学の「平山勝蔵教授」の「庭園の水琴窟について」という論文を造園専門誌に発表したものでは、二つの存在(鳥取県東伯郡尾崎邸の水琴窟と東京品川区の吉田邸の水琴窟)が確認されていたと言い、その後、各メディアなどにその存在をピックアップしていく中で再び注目を浴び復興されていった・・・と言うことであります。
現在日本全国で見受けられ楽しめる「水琴窟」は、この「平山勝蔵教授」の長年にわたる発見・調査・復興の賜物で、現在の「水琴窟」はこの教授なくしては復興しなかったといって良いほどのようです。ちなみに「円光寺」のものは平成9年
(1997年)に完成したものだと言います。
皆様も、京都へ起こしの際には是非に「水琴窟」の美しい音色をお楽しみください。
おわり
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