小説「逆GENJI物語」 高田裕一 著
桐花
いづれの御家元の時でしたか、理事など上級の師範が
あまたいらっしゃる中に、上級ではないが、すぐれて
時流に乗った人がいました。 花風流いけばな協会
の展覧会において、24歳の若さで新人賞を受賞した
、桐花(とうか)という雅号の女性です。
そのきわめて繊細な生花造形が、上級師範の特に男性
方の心の琴線に触れたのでしょうか、こぞって褒め称
えられるようになったのです。
家元がつい洩らした、
「いいねえ、まるで桐花流立花(とうかりゅうりっか)だ」
という一言を、耳ざとく聞き取った春風(しゅんふう)が思わず唇を噛んで血を流した、という噂が飛び交
うほどです。
この春風は現家元の一人娘で2
8歳、時期家元といわれています。
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