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「小説「逆GENJI物語」」サンプル
ID:P0006879

小説「逆GENJI物語」  高田裕一 著


桐花

いづれの御家元の時でしたか、理事など上級の師範が あまたいらっしゃる中に、上級ではないが、すぐれて 時流に乗った人がいました。
花風流いけばな協会 の展覧会において、24歳の若さで新人賞を受賞した 、桐花(とうか)という雅号の女性です。

そのきわめて繊細な生花造形が、上級師範の特に男性 方の心の琴線に触れたのでしょうか、こぞって褒め称 えられるようになったのです。
家元がつい洩らした、
「いいねえ、まるで桐花流立花(とうかりゅうりっか)だ」
という一言を、耳ざとく聞き取った春風(しゅんふう)が思わず唇を噛んで血を流した、という噂が飛び交 うほどです。
この春風は現家元の一人娘で2 8歳、時期家元といわれています。


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